デスクワークにおける腰痛
目次
日本人は世界一座っている
デスクワークによる座りっぱなしの健康に対する弊害は、昨今叫ばれています。
「座ることは新しい喫煙である」
メイヨ―クリニックのジェームズ・A・レヴィン博士は言います。
「座ることは喫煙より危険で、エイズより人を殺し、パラシュートで降下するよりも危ない」
2時間の継続的な座位は心疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、がん、腰痛、頚部痛、その他の整形外科的リスクを増大させる。
問題なのが活動量を増やしても座ることのリスクが減らない事です。
運動をしていれば可逆的に座ることによる健康リスクが減少するわけではなく、むしろ座る時間が長くなるほど運動をしていても、健康リスクは高まるようです。
そんな中、日本人は世界で最も一日の座位時間が多い民族で、平均7時間座っていると言われています。
職業と腰痛
職業別に腰痛の患者を調べてみると
社会福祉職者や積荷の運搬者の腰痛発生率が非常に高くなっています。
また、彼らの腰痛は非災害性の8倍も災害性腰痛であり、仕事中の腰痛です。
25kgのものを一日25回以上上げ下ろしをする場合の腰痛発生率は高まるようです。
過重負荷のかかる労働は腰痛の発生を助長しています。
ちなみにデスクワークの腰痛はその仕事の従事者の9割が一度は腰痛を経験したことがあり、座る時間が2~5時間で最も少ないが、そこからは長くなるにつれて増加傾向にあります。
デスクワーカーの腰にかかる負荷
座位での腰椎への負担が懸念されがちですが、物理的な負荷に対して腰椎や椎間板は脆弱な組織なのでしょうか?
椎間板は強固な線維組織であり、髄核の9割を水分が蓄えられています。
日常的に座っている人と立っている人の椎間板を比較した研究では、椎間板の変性に有意差は認められなかったとのことでした。
立位でかかる椎間板の負荷を100%とすると座位だと140%にもなると言われています。
これをグラフ化したものを見てしまうと、椎間板は座位で変性するものと思い込んでしまいがちですが、比較すると差がないというのは意外な結果です。
椎間板の構造について調べてみると、椎間板という組織は負荷がかかることで安定する組織でもあるようです。
水風船のように潰されるのではなく、内圧が高まることが悪いことでもないため、座位による椎間板の負荷が腰痛を招いているのではなく、椎間板の変性があり、それが腰痛の危険因子になっている人にとっては座位は腰痛の引き金になりやすいと考えます。
職場の腰痛
職場で起こる腰痛は心理社会的要因が絡む腰痛も見逃せません。
人間関係や金銭問題など
労働環境による作業姿勢や温度、湿度まで
腰痛に影響がないとは言えません。
デスクワークによる腰痛は
・長時間になるとリスクが高まる
・座ること自体に構造的な有意差はない
・腰痛がある患者とない患者では姿勢による影響が違う
・心理社会的要因が潜む可能性
この辺りを精査する必要があります。
座ることで骨盤がズレたり、ゆがむことはありません。
もし仮にその文脈が必要であれば、それは腰椎の不安定感がある場合において、多裂筋などのエクササイズを用いる場合に左右の違いにつて言及することはあるかもしれません。