膝が悪いとスクワットはできない?

目次
膝が悪い=曲げちゃダメ?
当院の膝を痛めて来院される患者さんは
・60代
・男性
・整形外科で変形性膝関節症と診断
・歩行時や階段昇降時の痛み
このような方が多いです。
曲げることに恐怖感があります。
膝関節は伸ばすと安定、曲げると回旋を伴うため曲げる時に恐怖感があります。
では、曲げないようにする事が変形した膝には必要なのでしょうか?
曲げるor伸ばす?
膝OA(変形)の患者さんに同心性のトレーニングと偏心性のトレーニング、運動なしの群に分けて調査した研究では
筋収縮の種類に関係なく、膝の屈伸共に筋力を増強させ、痛みと機能を改善させる可能性があったそうです。
どんなトレーニングを選択するかは、その人の膝の状態や好み、耐性によります。
曲げてはいけない、伸ばしてはいけないということではなさそうです。
同心性トレーニングと偏心性トレーニングでは同心性レジスタンストレーニングで、歩行時の痛みと歩行停止時の痛みの重症度が、偏心性トレーニングよりも有意に改善されたそうです。
曲げる、伸ばすといった同心性のトレーニングは歩行時の痛みを改善できるようです。
膝OA患者の歩行
膝OAの患者は健常者の歩行と比較すると足首の機械的作業費が著しく低いようです。
対して股関節の機械的作業費は高く、歩行速度は遅く、膝の前面にかかる負荷は大きかったようです。
しかし、これは無症候性膝OAの場合においてであり、症候性膝OAの患者の足首はOAのない人と同等またはそれ以上だったという研究結果もあります。
膝関節においては症候性、無症候性どちらも健常群と比較して低い関節活動のようでした。
足首の動きは膝OAかどうかは関係なく、痛みに対する代償動作にもなり得るということが分かります。
よって、膝の負荷を最小限に抑えるように前方推進力を強化することが課題になります。
また、歩行速度を制御すると股関節と膝の伸展と足関節底屈に制限が出ました。
下肢の関節OAは下肢の伸展力の低下と、足関節の底屈の低下による垂直力の低下が顕著に見られます。
よって、トレーニングの課題は下肢伸展のための殿筋トレーニングと足の垂直力の強化ではないかと考えます。
膝OA患者にスクワットはOKか?
殿筋の強化として代表的な運動にスクワットがあります。
しかし、イメージ的に
・膝を曲げるのは大丈夫か?
・立位のため膝に荷重がかかりそう
・どこまで曲げてもいいのか?
このようなネガティブな不安が湧いてきます。
スクワットに関して、脛骨大腿骨のせん断力と圧縮力、膝蓋大腿圧迫力、膝の筋肉活動、および膝の安定性をレビューし、運動能力、傷害の可能性、およびリハビリテーションに関連して議論したものがあります。
主に後十字靭帯(PCL)によって抑制された低から中程度の後十字靭帯は、すべての膝屈曲角度でスクワット全体に発生しました。
主に前十字靭帯(ACL)によって抑制された低い前方せん断力は、0度から60度の膝屈曲の間に発生しました。
膝蓋大腿の圧縮力と脛骨大腿の圧縮力およびせん断力は、膝が屈曲するにつれて徐々に増加し、膝が伸びるにつれて減少し、最大膝屈曲近くのピーク値に達した。
したがって、膝の力は機能範囲で最小であったため、0〜50度の膝屈曲の機能範囲でスクワットをトレーニングすることは、多くの膝リハビリテーション患者にとって適切である可能性があります。
大腿四頭筋、ハムストリングス、および腓腹筋の活動は、膝の屈曲が増加するにつれて一般的に増加しました。これは、0度から100度の膝屈曲の間でパラレルスクワット(最大膝屈曲で地面に平行な太もも)は健康な膝を持つアスリートをサポートします。さらに、パラレルスクワットは健康な膝に害を及ぼさないことが実証されました。
このように膝のリハビリテーションには>50°範囲内、健康な膝の場合は>100°のパラレルスクワットは膝の強化に適しています。
膝の障害のある患者にはまず股関節30°屈曲などをトレーニングしながら、徐々に膝屈曲50°までを継続的に行えばより安全性が増し、膝に負担をかけるどころか膝の強化し、負担を軽減させることが可能です。
また、足趾圧に関係する内因性の足の筋はスクワットによって筋肉活動は増加したようです。
足の内在筋は足趾圧を高め、底屈を強化します。