カフェインは痛みにとって善か悪か

目次
カフェインの痛みに対する矛盾する影響
カフェインは痛みを増強させるという研究もあれば、鎮痛効果として作用するという研究もあります。
これはどちらも正しいとは思いますが、そうなるとどんな条件がこの感受性の変化に影響するのか?ということが疑問です。
食事指導、栄養指導をする上で疼痛を抱えた患者さんにカフェインの扱いをどのように伝えるべきでしょうか?
健康な成人による1日400 mgの用量レベルでの適度なカフェイン摂取は、悪影響とは関連していませんが、ライフスタイルの他の健康決定要因にも依存します。カフェインの過剰摂取は、精神運動性激越、不眠症、頭痛、胃腸の不調などの健康への悪影響を引き起こす可能性があります。
とある論文には記載されています。
コーヒー1杯(150ml)あたり80mg相当だと言われていますので、5杯くらいが上限と考えられます。
その他、緑茶やエナジードリンク、チョコレートなどにも含まれますのでコーヒーの量は2~3杯くらいを目安にすることが妥当かもしれません。
カフェインの疼痛抑制効果は鎮痛剤としてパラセタモール、イブプロフェンの効果を高める作用が報告されています。
カフェインによる血流や神経への影響
カフェインは中枢神経系に働く最も身近な向精神効果のある物質です。
中枢神経系を刺激するため、自律神経系や心肺機能に強い影響があるのではないかという疑問があります。
まずはカフェインを摂取することで交感神経が優位になり血管拡張が起こると言われていますが、交感神経が優位になるというよりは副交感神経の活性を抑制するようです。
エナジードリンクを飲むと覚醒し、興奮するようなイメージで販売しているため、緊張や興奮を促す物質という誤解があります。
カフェインは交感神経を高めるわけではありません。ですのでリラックスしたコーヒーブレイクは適度な休息感を与えるようです。
血流は血管の拡張ではなく、オキシヘモグロビンが減少し、デオキシヘモグロビンの量が増えるようです。
酸素を抱えていないヘモグロビンが増加することで酸素飽和度が高まるということですね。
また、カフェインを高い摂取している人と低い摂取をしている人の脳血流量の変化では、カフェイン自体では脳血流量が低くなったようですが、プラセボの場合だと高摂取群は低摂取群よりも脳血流量が低くなったそうです。
好んでカフェインを摂取することが脳血流量を低下させ、カフェインの効果を高めたと言えます。
実際、カフェインはこのように通常の摂取では思われているような血管拡張作用や交感神経の興奮効果はさほどなく、それによって痛みが惹起されるようには思えません。
カフェインは抑えるべきか?
片頭痛においてカフェインは薬にも毒にもなるようです。
カフェインはすべての研究で治療薬との併用で効果があるとされています。
一方でカフェインの乱用は片頭痛の慢性化リスクを高めます。
急激な離脱は離脱症状を伴うために推奨できません。
チョコレートはカフェインを含む片頭痛のトリガーになる食品として有名です。
しかし、この調査でもチョコレートが片頭痛を引き起こす証拠は確証が持てませんでした。
このようにカフェイン単体ではなく、ストレス、絶食、睡眠不足、アルコール摂取また、食物や薬物の依存のような状態を含んだ場合危険因子になるように思えます。
何事も適量ということが大事なのだということを改めて再確認しました。
また、疲労度、メンタルヘルスなどが加わることで食生活や栄養状態は乱れやすくなります。
よく噛むという行為が出来ないくらい食べることが惰性になることで、味わうことも少なくなります。
刺激の強い食品は味わうことができない、口寂しさを紛らわすことが容易にできます。
食生活から排除する前に、疲労度やメンタルヘルスを見直す必要があるかもしれません。