肥満と腰痛
目次
腰痛は肥満と関係するのか?
腰痛の指導ではよく体重を減らすことを提案します。
事実、減量することで腰痛が改善するケースは多く、肥満と腰痛はよく結び付けられて語られます。
研究分野としても興味が高く、論文も多く存在します。
しかし、これらを読んでいくと面白いことがわかりました。
青年期の肥満と腰痛の関係を前向き研究で追っていくと、肥満と腰痛に関連性はあまりないようです。
肥満や体重増加が腰痛を引き起こしたタイミングと一致しないことが多く、肥満自体との相関性が証明できなかったとのこと。
これに反して、腰痛特に椎間板症に関しては肥満の人が手術を受けるケースが多く、肥満との相関性があるのではないか?という研究結果が示されています。
ここから腰痛と肥満は、肥満自体が腰痛の引き金になるのではなく、腰痛を起こした人が肥満だった場合に椎間板の変性が多く見受けられたということです。
脂肪は炎症の誘因となるのか?
2013年に東京大学が脂肪細胞内にある制御性B細胞が、脂肪内の炎症を抑制するはたらきを見つけました。
肥満するとこの細胞が減少し、組織内炎症を起こしやすくするようです。
椎間板や筋肉の炎症も肥満の影響を受けるとしたら、このような生理的影響が起こっている可能性がありそうです。
慢性腰痛患者の椎間板終板組織に対する多裂筋の脂肪浸潤を調査すると、L4以下で認められることが多かったようです。
この場合、椎間板終板組織に脂肪浸潤が起こり、血管の増殖、炎症が発生すると椎間板周囲の炎症や椎間板変性の原因になりそうです。
しかし、疼痛感受性の高さはむしろ多裂筋や脊柱起立筋の筋力低下が影響するようで、腰部の筋肉への脂肪浸潤量は関係がないようです。
そうなると、脂肪浸潤の影響を受けやすい組織は椎間板であり、痛みの感受性は腰部の脂肪浸潤ではなく、腰部の筋力低下。
椎間板症は肥満でリスクが高まるが、痛みの強さは筋力でカバーできるというわけです。
肥満の管理と運動指導
当院ではインボディ©を使用した、体型および体組成分析を行い
リハサク©を用いて運動指導を行います。
数値管理をするだけでも、生活の質が高くなりますので、このような試みはまだ接骨院では少ないですが、データの蓄積でより良い指導ができるようになると考えております。
また、体重管理は目標を持った運動や活動量を実施しやすくなるため、慢性腰痛患者にとっては認知行動療法の一環にもなります。
このような総合的評価で腰痛治療をするスタイルは生活にも変化が生まれ、その人がより快適に過ごせるようになるため、辛い治療、面倒くさい治療ではなく、より健康でいるための健全な形として評価いただいております。