腰痛の違いによる傍脊柱筋の障害
目次
腰痛の違いによって筋肉は変化する
慢性腰痛と再発性腰痛は接骨院などではあまり区別なく介入されています。
しかし、筋の状態を調査するとこれらの差は傍脊柱筋に違いがある事がわかります。
また、急性腰痛と慢性腰痛でも筋の収縮に違いがあります。
筋への脂肪浸潤と筋断面積
急性腰痛と慢性腰痛を比較すると、慢性腰痛の大腰筋、脊柱起立筋に萎縮と脂肪浸潤が見受けられるようです。
また、多裂筋の脂肪浸潤は再発性腰痛より、慢性腰痛で有意に高く、脊柱起立筋では筋断面積が減少していたとあります。
これらの違いは急性期と慢性腰痛、再発性腰痛と慢性腰痛の治療方針を考える上でとても大事になります。
脂肪浸潤が増えれば、増殖血管が深遠している可能性が高く、炎症も起こりやすいと考えられます。
慢性腰痛は長期化したものほど、このような生理的問題を抱えているため、痛みの感作が働きやすくなります。
また、筋断面積の低下は筋萎縮と捉えることもできます。
急性腰痛でも、大腰筋や脊柱起立筋に筋萎縮が確認されます。
これが長期化(3ヶ月以上)すれば、慢性腰痛となり脂肪浸潤も起こります。
治療計画と予後予測
慢性腰痛に関しては予後は不良になりやすいです。
しかし、運動による自己効力感を高め、主体的な取り組みができると希望的な未来が見えてきます。
急性腰痛、再発性腰痛などは一時的な炎症を繰り返しています。
そのような腰痛の予後は数週間で寛解します。
腰痛ガイドラインでは急性腰痛は6週間で自然寛解すると書かれています。
しかし、再発性腰痛のように繰り返し痛みを経験すれば、腰痛の条件を学習する事になり、予後は悪くなります。
急性腰痛は数回のケアで改善されますが、実は痛みが和らいでからの方が大切で、疲労のケアや睡眠、栄養など暮らしを少しずつ健やかに変えていくことが望まれます。
仕事上難しいところがあるのは理解できますが、腰痛は低所得層に多く、時間に余裕がないなど、経済だけでなく精神的にも貧困な状態で起こりやすいのは納得できます。
まずは自分の豊かさを大切にすることを優先する。
貧しさの裏にある豊かさを探すだけでも、生活は変化します。
急性腰痛は、動きたくない、動けないといった危険信号です。深呼吸して、休息できる豊かな時間だと思って、回復に努める時間を過ごしていただきます。
腰痛は繰り返さない工夫が必要で、早く回復する術を身につけ、恐怖を必要以上に感じないことが、腰痛の頻発を抑制する一助になります。