僧帽筋へのアプローチ~肩こりに関わる情動的な筋
目次
肩こりのターゲットになる筋
肩こりの方がコリを感じる筋肉は首~肩にかけての筋です。
デスクワーカーがここに肩こりを感じる原因を「座る姿勢」という説明モデルにしてしまうのは、正直説明不足と感じています。
肩こりは慢性的であり、非特異的な症状のひとつです。
そのため、組織損傷を伴わず、繰り返しの疼痛発現や疲労の連続や継続が筋硬結となり、様々な生理的な病態を示します。
肩こりは頭痛がある人にとっては、トリガーにもなります。
頭頚部~肩の筋は物理的な負荷だけでなく、精神的な緊張感や人間関係にも晒されます。
また、運動不足や筋力の弱さ、循環器系の問題も肩こりには課題になりますし、消化器系の不調時にも肩こりを伴う人もいます。
肩こりは非常に複雑な症状であり、一時的で一過性のものがほとんどですが、慢性化しやすい症状のひとつであるため注意が必要です。
僧帽筋の解剖
肩こりのメインターゲットとして注目されやすいのが僧帽筋です。
僧帽筋は上・中・下部と3つの線維束があり、背部の表層でひし形を描く大きく薄い筋です。
上部は肩甲骨を上方に回旋させ、中部は肩甲骨の安定、下部は肩甲骨を下方に回旋させたり、上方回旋を抑制します。
僧帽筋の支配神経はXI脳神経である副神経の支配でもあり、運動神経でも珍しい脳神経支配の筋です。
僧帽筋は上部を収縮させ、肩を持ち上げ、首をすくめます。
顎の咬合、顔面の緊張などによっても、僧帽筋は収縮し、運動器としてだけではなく感情的な変化やストレスの強度によっても反応します。
僧帽筋へのアプローチで意識しておくポイント
僧帽筋は姿勢や運動に対する収縮だけでなく、情動や脳の疲労などでも過剰な収縮が起こります。
肩こりを構造や姿勢の産物としない理由はこのようなところになります。
僧帽筋へのアプローチは
・頭部や表情筋のこわばり
・咬合
・深い呼気
・リラックス
・僧帽筋下部線維の収縮
この辺りをよく見ていきます。
肩こりは治療として考えるのではなく、心身のケアと効果的な運動、そして生活習慣指導。
表情を伴う感情の解放、睡眠による脳の休息、適度な身体活動。
肩こりを揉みほぐし、運動だけの指導で効果が見られない方はご相談ください。