肩甲骨の評価をしっかりしましょう
目次
肩甲骨
肩こりや背部痛の患者さんに肩甲骨のアプローチをする治療院はよく見かけます。
当院でも肩甲骨はよく考察や議論の対象になります。
それは肩関節の重要な構成する骨でもあり、背部や脊柱にも関係する筋が多く付着するからです。
肩甲骨にはいくつもの筋肉が付いています。
・僧帽筋
・肩甲挙筋
・棘上筋
・棘下筋
・肩甲下筋
・前鋸筋
・大・小菱形筋
・小円筋
・大円筋
・小胸筋
・上腕二頭筋
・烏口腕筋
・三角筋
こんなにあります…。
関節としても
・肩甲上腕関節
・第二肩関節
・肩甲胸郭関節
・肩鎖関節
と3つの関節構造(滑膜性結合は肩甲上腕関節と肩鎖関節)
要するに13の筋を使って、4つの関節で動くわけですから「肩甲骨はがし」なんて評価も何もない方法でただ肩甲骨と胸郭の間に指を入れても何もなりませんよね?
肩甲骨の評価ポイント
肩甲骨は肩甲上腕関節の動きと肩甲胸郭関節の動きからを肩甲骨の運動として理解されています。
肩関節の運動機能を評価するのであれば、上腕骨に対する肩甲骨の運動を評価します。
上肢を下垂した位置で肩甲骨の静的な位置の差は上腕骨の可動時にどのように変化をするかを確認するための基準になります。
①前額面 肩峰の高さ、鎖骨の挙上 肩甲棘の傾きから上方回旋、下方回旋
②水平面 脊柱と棘三角を結んだ距離 内転・外転
③矢状面 肩峰角と下角を結んだ線 前後傾
屈曲
外転
外転ー外旋
これらの90°の位置
結帯動作
肩甲骨挙上
外転90°位最大外旋
水平内転
僧帽筋、前鋸筋、小胸筋などを評価し、その位置情報の変化や左右差で痛みの原因を評価します。
肩甲骨を評価する目的は?
肩甲骨の基礎的な評価をすることで、肩甲骨ー上腕リズムなどの異常をみつけやすくなります。
肩関節のインピンジメントなどを疑った時に、上腕骨に対し、肩甲骨の動きが少なければ関節内の接触圧が高まります。
肩甲骨ー上腕リズムは外転30°から一定のリズムが続き、2:1の比率と言われています。
肩甲胸郭関節60°に対して、肩甲上腕関節30°、肩鎖関節30°(最新版は肩甲上腕関節35°、肩鎖関節25°)
上腕骨が挙上しても、肩甲胸郭関節が動かなければ腕は上がりませんし、逆に上腕骨が挙上しても肩甲胸郭関節が動かなければ、これも腕は上がらない。
ですから、この2:1という比率は上肢が正常に挙上する上で非常に重要な目安になるのです。
ここで問題がなければ、肩関節に問題がある可能性が低くなるため、肩甲骨の評価は大事です。
肩の痛みは小さな痛みでも長引きやすいため、正しい評価が重要になります。
曖昧な判断で治療を避けるために、当院では細かい評価をしっかりと徹底しています。