腰椎の前弯と座位姿勢の筋の影響
目次
腰椎の前弯を形づくるメカニズム
腰椎は脊柱の中でも椎体が大きく、関節の形状が屈伸に特化しており、椎間板が厚い骨です。
椎骨の両側面には肋骨突起と横突起があるのも特徴的です。
椎体面は横に広く豆のような形状をしています。
この腰椎が5本で前弯をつくることで腰椎のMobilityとStabilityが保たれます。
腰椎の運動軸は棘突起上に存在します。
これ故に側方に動いたときに椎間板は傾いた側の圧が凸側へと押し出されます。
椎間板の髄核は凸側の線維輪によって恒常性が保たれます。
これらのメカニズムは腰椎の前弯を保つためにすべて必要な機構です。
ここに関与する筋が大腰筋、腰方形筋、脊柱起立筋、多裂筋などの抗重力筋と呼ばれる筋です。
腰椎の前弯と姿勢
腰椎の前弯には重力が必要です。
重力下であることで椎間板内圧が保たれ、それによって前弯が維持できます。
ですから、座位や立位などの垂直位である必要があります。
大腰筋は立位と座位で少し腰椎に対する働きが違うようです。
座位では股関節が屈曲位になります。大腰筋は立位よりも座位で筋活動が高くなる筋です。
腰方形筋は腰椎の伸展位、側屈位で筋活動が高まります。
座位において大腰筋は腰椎の位置的な変化、動きの変化で活動する線維束に変化があり、腰椎の屈曲位から腰を伸ばして前弯をつくる動きで椎体に起始する線維束の活動が大きくなります。
腰痛がある人は伸展時に横突起に起始する線維束が働きにくく、腰椎の不安定性に関与するようです。
長時間の座位姿勢は大腰筋の持続的な収縮を起こし、伸展時の伸張性を欠き、股関節の伸展運動の制限となる場合があります。
スランプ座位による腰部の不安
座位姿勢が筋収縮と腰椎前弯に関係するということを書きましたが、長時間の座位が腰椎に不安をもたらすことがあります。
腰椎屈曲弛緩現象というものがあります。
立位屈曲時に腰椎の屈曲最終域で脊柱起立筋の活動が減少または消失する現象です。
スランプ姿勢は腰椎の前弯が減少した座り方です。
いわゆる、腰を丸めた姿勢です。
この姿勢を長時間取ることで腰の粘弾性が欠けてしまうようです。
このことで伸張性の収縮時に筋のテンションが失われ、活動が弱くなります。
スランプ姿勢になるという事は、姿勢維持筋の活動が弱くなっており、大腰筋の伸張性減少や腰方形筋の腰椎安定化作用の減少も同時に起こると思われます。
姿勢の悪さは腰痛に相関しないと言い続けていますが、これは姿勢の良し悪しではなく「長時間」と「スランプ姿勢による筋の粘弾性低下」が原因です。
スランプ姿勢を取らない様にではなく、スランプ姿勢も他の座位姿勢も自由にできる体の状態であるかどうかが最も大事になります。