痛みを治療対象にしない
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痛みは修復に必要な反応
腰痛でも肩の痛みでも強い痛みを伴うことはとても嫌な体験です。
なぜ、筋骨格系が「何もせずに」痛むのか?というと、筋骨格系は神経系、血管系の支配がオーバーラップしていることに理屈があります。
筋骨格系は人間が活動するためにあります。
しかし、「何もせず」同じ筋収縮を繰り返していると筋疲労を起こします。
筋疲労は周辺の血流障害を起こし、筋肉だけではなく、骨や関節にも血流障害を引き起こします。
血流障害はその領域を支配する交感神経によって緊張状態を引き起こします。
そこは免疫系的には顆粒球の増加が起こり、運動器官の組織障害を回復させようと生体反応を起こします。
この時に起こるのが炎症であり、炎症には痛みがセットになります。
このような痛みはアセチルコリンやプロスタグランジンといった物質によって生じるものです。
アセチルコリンは副交感神経を働かせ、交感神経を鎮めるためにドーパミンを抑制します。
プロスタグランジンは細胞膜から遊離し、炎症を起こし発痛物質であるブラジキニンの作用を高めます。
これらは痛みを改善しようと作用するのではなく、組織の回復をするために痛みを利用しているように思えます。
痛みは治療の対象にならないのは、こういうメカニズムで理解できると思います。
急性期の筋骨格痛
急性的な筋骨格痛で代表的なものはぎっくり腰や寝違え、五十肩などです。
これらの筋や腱は長時間同姿勢や持続的な緊張状態、寒さ、ステロイドや痛み止めの長期服用などが血流障害となり、交感神経による持続的な興奮による筋収縮が疲労を起こし、筋力の低下や筋の粘弾性の低下などから発症します。
こう考えると動かないことをはじめ、血流が悪くなることがこれらの原因となっていることがわかります。
ケガなどの回復にもこのようなはたらきが体内で起こっています。
神経障害性の痛みはまた違う機序があると思いますが、構造的な痛みは回復に必要なものと考えた方がいいでしょう。
大切なのは慢性化対策
痛みは長期になると、学習されます。
そのため、反復性の腰痛や慢性化リスクが上がります。
慢性化対策は
・運動による恐怖の克服
・大事にしすぎない
・自分の事は自分でする
・早期職場復帰
・軽い運動を継続的に
・低栄養の食事にならない工夫
・睡眠
・水分補給
・痛みを確認しすぎない
このようなことが大切です。
痛みを治すのではなく
以上の事から痛みは治すものではなく、痛みがあっても生活の質を上げていくことが大切です。
痛みがあるとどんなことに不自由なのか?
痛みがあることで制限されることは何か?
そういうことを少しづつ改善しながら、達成感を高めていくと痛みは知らないうちに消えていたりします。
徒手療法は皮下血流を一時的に高めることができるので頼りたくなりますが、運動や入浴による血行促進
リラックスした気分による交感神経の抑制には敵いません。
施術を受けるならば、心地よく身をゆだねられることが大切です。
安心できる治療院選びが大事なのはこの点ではないでしょうか?