頚部痛の改善は頚椎弯曲の改善が有効なのか?
目次
頚椎の弯曲と頚部痛
頚椎は前方に約20°の弯曲を有します。脊柱の生理的弯曲は疼痛の誘発因子として説明されることが多い構造です。
特に頚椎はストレートネックに代表される頚椎の前弯減少がレントゲン上で確認できると、整形外科などでは頚部痛の原因のひとつとして説明することがあります。
整体院、カイロプラクティックなどでも日本の場合は触診でしか判断できないにも関わらず、頚部の弯曲異常は指摘されることが多い構造的対象です。
首の痛みのあるグループと首の痛みのないグループで4°以上の後弯が認められたのは痛みのあるグループで23%、痛みのないグループで17%でした。
C4/5で最も多く、C5/6、C3/4の順となっています。頚部痛のあるグループは平均で6.5°、ないグループで6.3°でした。
このように頚椎の後弯が頚部痛との間に相関性があるかという点では、臨床的特徴(持続時間、頻度、痛みの強さ、放射性の痛み、感覚/運動障害、障害、医療利用)が頚椎の弯曲に影響を受けているかは弯曲の角度、分節の角度ともに相関性はみつかりませんでした。
とあります。
頚椎の形状は頚部痛の原因と言い切ることはできません。
胸椎の後弯と頚部痛
胸椎の後弯は頚部痛に関連があるという報告があります。
慢性的な頚部痛の場合、胸椎の後弯が45°を越えて増加し、30°を越えた可動性の減少が認められます。
胸椎の可動域減少と後弯の増加は加齢によっても起こるため、予防的エクササイズが好まれます。
胸椎の可動性の低下は呼吸にも影響し、慢性頚部痛患者の場合、頸胸椎の可動性と呼吸強度が低下します。
このことから頚部屈曲の持久筋の強化と呼吸機能の強化が慢性頚部痛の患者には必要になります。
頚部痛に対する呼吸筋トレーニングの効果
呼吸機能の低下は頚部痛の誘発と関係があるようです。
持続的な呼吸機能トレーニングは頚部の屈曲可動域と痛みを軽減させたようです。
また、胸郭の拡張、頚部持久筋の活動が向上します。
呼吸機能の低下は、首の可動域の低下、前頭姿勢、心理的状態の悪化、首の筋力低下、口腔機能低下なども生じます。
首の痛みのある患者では正常な人に比べて吸気機能が有意に低下したそうです。
慢性的な頚部痛の介入は頚椎の弯曲を改善するよりも呼吸機能を向上、持続的な呼吸トレーニングによって胸郭機能を高めることの方が有効です。