慢性腰痛と倦怠感
目次
腰痛と疲労
慢性腰痛患者の多くは疲労や倦怠感といった訴えを痛み同様に感じます。
倦怠感も痛み同様、脳と神経系メカニズムであり、人間の生命維持において非常に重要な感覚のひとつです。
とある調査によると慢性腰痛患者に実施したアンケートで倦怠感を伴う患者は26%にのぼりました。
うつ病のスコアが1増えると倦怠感は9%増加し、自己効力感が1高まると倦怠感リスクは2%減少しました。
痛みによる抑うつ症状は倦怠感を増加させ、自己効力感は倦怠感リスクを減少させます。
別の報告では慢性腰痛患者の倦怠感の有病率は69.7%にものぼりました。
男女差は女性よりも男性に倦怠感を抱く患者が多かったようです。
腰痛に限らず、強い痛みは倦怠感、うつ、生活に支障を来す障害を多く訴えます。
倦怠感と炎症
倦怠感は末梢神経系と中枢神経系の両方に影響を与える免疫系の炎症性活性化の増加に関連しています。
このことから倦怠感というのは免疫系によって、自己攻撃されることで起こる炎症ということになります。
痛みやうつによって自己効力感を失うことでおこる、神経系の異常が炎症を体内各所で起こすことから、痛みの増強、圧痛点の増加、感受性過敏などを引き起こします。
精神的、肉体的どちらの疲労に関わらず、慢性的な疲労の蓄積は急な骨格筋痛の発症原因に十分な説明となります。
過度な疲労によって引き起こされた痛みは、組織損傷がないものがほとんどです。
積極的な睡眠や休息によって疲労の回復に努めることが早期回復のための一歩になります。
マッサージと疲労回復
運動後の筋疲労の回復において、主観的な疲労回復にマッサージは効果が高いことが示されています。
マッサージは受動的な圧力によって、血流の促進、筋肉の温度を高め、自律神経系にも変化を与えます。
しかし、これが疲労回復につながりパフォーマンスを高める作用、効果であるか?という事に関してはまだ情報が不足しているようです。
マッサージが疲労回復につながる効果は心理的な側面では、効果が高いとされています。
多くの人が疲労回復できる方法としての信念が広まっており、マッサージを受けることで主観的に疲労や倦怠感が薄れ、痛みの軽減にもつながるようなことがあります。
マッサージ後は副交感神経の活動が高まり、ストレスレベルがホルモンレベルで減少します。(コルチゾールの増減による)
慢性腰痛患者にマッサージを施すことは一時的な効果と心理的作用が大きく働きそうです。