労働による疲労、就労時間と休憩
目次
疲労は避けられないもの
疲労は体内のエネルギーを消費したことを教えるアラーム機能のようなものです。
疲労の蓄積は活動の減少、最終的には停止を意味します。
疲労は主に4つのことで起こります。
①身体的な作業
②精神的な作業
③睡眠不足
④病気
これらに加えて
・反復
・飽き
・嫌悪
・長時間
・長期間
・痛み
・不快
などによって助長します。
働く人にとって疲労はつきものです。労働自体がエネルギーを消費する行動である以上、疲労なく働くことは不可能です。
労働時間
適切な労働時間は何時間なのでしょうか?
労基に定められている8時間というルールは医学的な基準ではないようです。
産業革命後にヨーロッパでは労使という関係が生まれ、有産階級と労働者に分かれました。
有産階級は30代くらいがその当時の平均寿命だったのに対し、労働階級は15~17歳だったとのことから
・かなり若い子供の頃から労働に従事していた
・子供の生育率が低かった
・労働者の長時間、長期間の労働、負荷がかなり多かった
このようなことが考えられます。
生産性を考慮した場合に、当時からどのくらいの労働時間が効率的か?という実験が行われきており、その中で8時間労働という漠然としたきまりが生まれたという説があります。
働く側の感覚はどうでしょうか?
看護師に12時間シフトと9時間シフトで働いてもらい、疲労度や不満度を計測すると9時間労働の方が12時間労働よりも疲労度や不満度が高ったそうです。
これは8時間労働という概念的基準のバイアス、前もって長時間になることの予測による心理的なセットアップなどが影響していそうです。
また別の研究では8時間3交代と12時間2交代のシフトを実施した場合、12時間シフト2交代に変更した方が労働時間、睡眠、社会的活動の満足度が向上しました。
12時間2交代のシフトを8時間3交代に変更すると、睡眠障害と倦怠感が大幅に増しました。
休息の間隔、就業日のシーケンスの間隔、シフトの種類の少なさが影響すると考えられました。
労働時間は8時間ということではなく、長時間労働であってもサイクルや休息の間隔などの予定によって疲労感に違いがあるようです。
休憩と回復
労務中の休憩は意図を持たせた休憩と、休憩の予定を立てて行うと、無意識かつランダムな休憩より倦怠感や心理的な幸福度にポジティブな変化をもたらしたようです。
また、休憩のタイミングは就労開始から早いタイミングで行うとその後の満足度につながり、長い休憩と短く頻繁な休憩は稀な休憩よりもリソースの回復につながります。
10分未満のマイクロブレイクは従業員の心理的ストレスを就業前の状態に下げる効果があります。
いかに休憩をうまく活用するかで、疲労を抑え、生産性を高めることができます。