変形性股関節症の可能性
目次
股関節の痛みと落とし穴
接骨院にはしばしば股関節の痛みを訴えて来院される方がおられます。
スポーツなどによるケガやスポーツ障害である場合もあれば、ある時からおかしいな?と思い始めて痛みだす。
そういう方もおられます。
当院では「股関節」と患者さんが訴えた時に臀部、鼠径部、股関節と分けて判断するようにしています。
なぜならば、これらの症状を患者さんの言葉で伝えてもらうとほとんど「股関節が痛い」となるからです。
臀部であれば、仙腸関節や腰痛、脊椎の疾患、坐骨神経痛、深臀部痛など様々な可能性が考えられます。
鼠径部痛であれば、内転筋の障害、恥骨結合、腸腰筋などの問題が考えられます。
股関節自体が痛むことは希ですが、変形性股関節症や股関節の障害も考えられます。
このように股関節には見逃しがちな落とし穴があります。
変形性股関節症
この中でも接骨院で治療するにあたって整形外科を受診しておいてほしいのが、変形性股関節症です。
変形性股関節症は
明らかな原因に乏しく、関節の摩耗、加齢などで起こる一次性のものと
ケガや病気などによって起こる、二次性のものがあります。
変形性股関節症ガイドラインによると我が国の一次性股関節症の診断基準はなく、用いられた基準によって差が生じます。
そのため発症頻度は0.65%~21%と幅広いのが現状です。
発症年齢は40~50代です。
発症頻度を外国と比較すると欧米よりも少なく、中国や韓国とは同程度です。
日本の場合、変形性股関節症の進行因子は寛骨臼形成不全または萎縮型です。
欧米では高齢、肥満、股関節痛、病期としてKellgren and Lawrenceグレード2以上、股関節屈曲制限、萎縮型などが挙げられます。
これらから日本の変形性股関節症は寛骨臼形成不全を基盤にした二次性の股関節症が80%を占めるようです。
CE角10°未満、加齢によって進行しやすく、前・初期と進行期、末期では治療法も違います。
関節裂隙の狭小化、寛骨臼形成不全の程度、肥満は痛みの誘発因子になります。
股関節に痛みを感じたら
変形性の股関節症は鼠径部痛や臀部痛に比べたら、発症頻度は低いです。
しかし、以上のような病態であることを考える徒手だけで判断することのリスク、徒手での改善が不可能である(非可逆的)、この2点が明確だと思います。
・しゃがめない
・歩行時の痛み
・階段の昇降時の痛み
・片足に過重できない
・正座、胡坐ができない
このような痛みは注意が必要です。
また、
・寛骨臼形成不全
・近親者に変形性膝関節症の方がいる
・肥満傾向
・骨粗鬆症
・過度の腰椎前弯、骨盤の前傾
これらは変形性股関節症の好発要素になりえます。
ご自身で判断がつきにくい場合は当院でも相談を受け付けております。