特発性脊柱側彎症は運動療法?徒手療法?
目次
特発性脊柱側彎症
レントゲン写真上で脊柱の側弯が見られる場合、側弯症と診断されることがあります。
その中でも
特発性脊柱側彎症や神経原性、筋原性側彎症の場合
進行に気をつけなければなりません。
接骨院や整体院の広告で「側弯症が治る」「側弯症が改善した」そういう触れ込みが多く見受けられますが注意が必要です。
側弯の程度はCobb角と言って
側弯の上端と下端を結んだ線から垂直の線を引いて交わった角度を計測します。
この角度が
10~20°を軽度側弯
40°以上を重度側弯と分類します。
まず先天的なものと後天的なものがあり
多くが後天的な側弯です。
3歳以前に発症すると乳幼児側弯症
4~9歳で発症すると学童期側弯症
10歳以降では思春期側弯症
とこのように分けられます。
この中で思春期側弯症が最も多く女子は男子の5~8倍の発症率だと言われています。
20°未満であれば保存的な介入(運動療法や理学療法、装具)などで進行を防ぎます。
40°以上では外科的介入によって進行を防ぐ場合も少なくありません。
当院での対象は20°以下の脊柱側彎症であり、思春期側弯症。
治療ではなく、進行の遅延、軽減が目的になります。
姿勢矯正や骨盤矯正は有効か?
徒手による側弯症治療の効果を研究したデータは多くありません。
徒手のみによるCobb角の改善は効果を示すだけのデータが揃っておらず、改善できるという証拠はありません。
しかし、運動療法や理学療法と併用した場合
多くの患者のCobb角は平均で17°改善され、側弯の増加は見られなかったようです。
徒手療法と運動療法の組み合わせは18週~24週ほどでCobb角の減少、側弯増加の停止の可能性があります。
姿勢維持のコントロールトレーニングやコア安定化エクササイズは特発性側弯症に対し、単独の一般的なエクササイズよりも有効です。
バランストレーニングや身体認知トレーニングによってボディマッピングを修正することで特発性側弯症の進行を防ぐことができたようです。
これにより脊柱側弯症は筋肉の不均衡や不良姿勢によって、進行が悪化する恐れがあると考えられます。
徒手による姿勢矯正、骨盤矯正だけでは不確かであり、運動療法を選択し、機能的な姿勢安定を目指すことが側弯症ケアには必要になるようです。
運動の選択と比較
側弯症の運動戦略でよく出てくるのはシュロス法です。
シュロス法は側弯に対して肩・胸・腰・骨盤に分けて、それぞれを3次元的に位置関係を評価分析して呼吸運動を中心に自己回復運動を促す方法です。
この群とコアスタビリティトレーニングの群ではシュロス法の群の方が腰部以外の部位の大幅なCobb角、胸管回転角、美容上の体形、脊椎可動性、生活の質の改善ができました。
体幹回転角、末梢筋力の改善はコアスタビリティ群の方が向上しました。
脊柱側弯症では呼吸機能の低下が胸郭の変形によって起こるため、胸部の後弯を保ち、腰部の前弯を促進するエクササイズは推奨されます。
接骨院、整体院で現実的にアプローチできるのは10~25°まで、運動療法に徒手を併用する。
40°以上は整形外科との連携が必須。
3次元的な評価と呼吸機能の向上は必須で、コアトレーニングを補足的に行う。
治療ではなく制御と予防が目的。
これらのことを念頭に置いてアプローチすることが重要です。