頚性頭痛に対する評価とアプローチ
目次
片頭痛と間違えやすい頚性頭痛
片頭痛や緊張性頭痛などで頚部由来の頭痛があることを知っておきたいところです。
カイロプラクティックなどの手技療法でもしばしば適応症状に頭痛を挙げているところがあります。
頭痛は非常に複雑な病態なため取り扱いには専門的な知識を要します。
しかし、頚椎への徒手アプローチで短時間に痛みを軽減させることもしばしばあるため
対処的な効果によって、効果があるように見受けてしまいます。
片頭痛に近い症状で頚性頭痛というものがあります。
慢性的な片側頭痛が特徴的な症状であり、首の軟部組織や骨構造から三叉神経の下行路の感覚神経線維が上頚部根からの感覚神経と相互作用して起こります。
脊髄副神経と上部頚神経の機能的収束は三叉神経の下行路と収束し頭頚部の痛みに関与しています。
このことから上部頚椎の固有受容感覚、後頭下筋群の過緊張、頚椎動脈、僧帽筋・胸鎖乳突筋の過緊張、三叉神経の感覚受容器の感作などがこの症状の解剖学的な要因だとされています。
評価
頚性頭痛と片頭痛の区別は僧帽筋上部の片側の圧痛、胸鎖乳突筋への関連痛などが特徴とされています。
頚性頭痛はC1-C3までの支配する領域にのみ痛みを感じさせることがわかっています。
これらの領域の侵害受容器が三叉神経の頚部核で発生する受容野から侵害受容性求心性神経に収束するために側頭部の痛みを訴えます。
1)頭の突然の過度の動きに続く突然の発症。
2)持続性の片側後頭下または後頭痛
3)首の動きだけで一貫した再現。
4)頭頸部の異常な姿勢
5)頸椎上部の動きの重大な痛みを伴う制限。
6)頭蓋椎骨接合部での異常な可動性
7)C2感覚異常または下部延髄または上部頸髄の兆候。
これらの徴候は頚性頭痛に特徴的に現れます。
頚性の片頭痛患者の頭蓋椎骨の角度は健常者よりも有意に低く、可動域の減少と比例しました。
これらのことから上部頚椎の可動域の理解が必要になります。
頚椎の頭蓋椎骨角度が低下する状態は前頭姿勢になりやすく、僧帽筋上部や後頭下筋群の過活動を生じます。
環軸関節(C1/C2)では頚部の回旋可動域の多くを占めますが後頭下筋群の過活動によって、この可動域は制限されます。
これらのメカニズムからも
・前頭姿勢
・上部頚椎の可動域減少
・後頭下筋群の過緊張
・僧帽筋または胸鎖乳突筋の片側(頭痛発症側)の圧痛
などを頚性頭痛の判断基準として推論できます。
アプローチ
徒手によるマッサージ、頚椎モビリゼーションは筋を弛緩させ、可動域を拡大できるために補助的な手段としては有効です。
上部頚椎の運動による回復は
・眼球運動
・舌のエクササイズ
・口腔の開閉
・咀嚼
・シュラッグエクササイズ
・副交感神経活性エクササイズ
・顎引きエクササイズ
などが効果的です。
頭痛のケアを考えた時には、頭痛発症のタイミング、環境要因なども把握しておくと良いでしょう。
上部頚椎のフィクセーションの代償として下部頚椎のモビリティが過剰になり、これが頚部痛の発症リスクを高めることも頭に入れておきたいところです。