2022.05.20

呼吸の浅さをよく指摘しますが・・・

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身体のプロから指摘される「呼吸の浅さ」

ヨガやピラティスなどのエクササイズだけでなく、ストレングス系トレーニングでも呼吸の重要性は常に語られています。

また、慢性腰痛や肩こりのケア、ダイエットなどでも呼吸は大切だと治療家やインストラクターから指導されるでしょう。

呼吸は生命維持に欠かせないものであるため、意識せずとも持続的に行っています。

しかし、あえてこの呼吸を意識的に行うように指導されるのはどうしてでしょうか?

患者さんからはよく

「呼吸が浅いと言われました」などという言葉を聞きます。

施術やトレーニング時に術者やインストラクターにこのような言葉を掛けられたそうです。

運動指導のプロたちが「呼吸の浅さ」に着目し、患者さんにこの言葉を投げかける意図はどこにあるのでしょうか?

彼らが観察しているのは

・胸郭の動き

・呼気の持続

・上半身の緊張

・腹筋の弱さ

主にこの4点のように思います。

これらを感覚的に観察し、対象者に良い悪いという判断を下します。

しかしこれは適切なのでしょうか?

これらの整合性について考察していきたいと思います。

胸郭の動きと呼吸

胸郭の動きの呼吸機能について調べてみると、むしろ呼吸機能の異常が胸郭の動きを低下させているとされています。

胸郭が硬い、柔軟さに欠けるという事が呼吸機能自体を低下させるというのは疑問を持つべきです。

胸郭は12本が左右対になり、胸骨と胸椎に付きます。

前側は肋軟骨で第10肋骨までは胸骨と結合しますが、第11-12肋骨は浮肋骨といい、前方はどこにも結合しません。

後方は胸椎によって上下が挟まれ関節になります。

胸郭運動はpump-handlemotion(PHM)とbucket-hadlemotion(BHM)の2種類あります。

PHMは胸郭側面から胸骨が吸気の際に上方へ動き、呼気の際に下方へと下がります。

この時、肋骨はポンプのハンドルのように上下し、前後方向の拡張、縮小する事で胸郭の前後径を変化させます。

BHMは胸郭を前方から見て、側方に拡張、縮小する動きです。

この時、肋骨はバケツのハンドルのように側方から上下する事で左右の胸郭の幅を変化させます。

最後にもうひとつ特徴的な動きがあります。

Caliper Motionというピンセットで摘むような動きです。

第11-12肋骨は前述したように前部が結合していません。

そのため、前側がカニバサミのような開閉した動きになります。

肋骨の高位で動きをまとめると

上肋骨(T1-6)
-PHM
-矢状面
-胸骨を持ち上げて胸郭の前径を大きくします

下肋骨(T7-10)
-BHM
-前額面
-肋骨を持ち上げて胸郭の横径を大きくします

最低リブ(T11-12)
-C🅼
-横断面
-肋骨の両端を分離して胸郭の横方向の直径を大きくします

このようになります。

胸郭の動きのモデルが分かったところで、様々な運動が胸郭をどのように動かしているのでしょうか?

体幹回旋時の胸郭

体幹回旋時は股関節の回旋について書かれたものは多く見かけるものの、胸郭の回旋可動域についてはあまり研究されていないようです。

その中で、下位胸郭の回旋可動域は上位胸郭より少ないのはBHMが回旋により制限されるからではないかという研究をみつけました。

また胸郭下部は腹斜筋があり、外腹斜筋の伸張性低下が胸郭の下部の回旋可動制限になりうるとも考察されています。

外腹斜筋は呼気の補助筋でもあり、筋のタイトネスにより下位胸郭の可動性低下→呼気の持続性低下や横隔膜の収縮性低下などにもつながる可能性はあるかもしれません。

その観点から見れば体幹回旋時の抵抗や動きのタイトネスは呼吸能力を落としかねないと言えるかもしれないようです。

屈伸可動時の胸郭

胸郭屈伸運動は脊柱や骨盤の運動と相関性があるとされています。

腋窩レベルと剣状突起レベルの屈曲可動域は上部腰椎の屈曲可動域と相関性がありました。

胸郭の屈曲可動域を高めるには多裂筋エクササイズが効果的とされ、多裂筋エクササイズは特に上部腰椎の屈曲可動域を高めます。

多裂筋は腹式吸気で左側が、腹式呼気で両側に肥厚が認められます。

腹式吸気時は腰椎に伸展と体幹回旋が生じ、腹式呼気時には体幹屈曲に対する遠心性収縮が生じるためです。

腹式呼吸には姿勢と脊柱運動が横隔膜の伸張性に影響するため、腰椎の前弯特に上部腰椎の屈伸可動性の向上が求められ、上肢の挙上やオーバーヘッドエクササイズ、僧帽筋下部の賦活なども関連しそうです。

左右側屈運動と胸郭

側屈運動と胸郭の関係を解説した文献は少ないが、上部胸郭は下部胸郭より側屈可動域が大きい。

側屈運動による呼吸機能は側屈側で弱くなる事が分かっています。

側弯症など、脊柱の変形を伴う場合は常に片側の胸郭は押し潰され、呼吸機能は低下します。

側屈を用いた呼吸機能改善エクササイズは凸側へのストレッチを呼気時に行う事が効果的と結論づけられています。

このように胸郭の運動と呼吸という行動を重ねてみると、

◆姿勢により呼吸能力は変化する

◆多裂筋と上部腰椎は呼吸活動に影響がある

◆体幹の回旋制限は呼気に影響を及ぼす

このようなことが考えられ、セラピストやインストラクターの観察による「呼吸の浅さ」は胸郭の可動性と単純な指摘はできない。

胸郭の可動性低下は腰椎の前弯減少や脊柱の側弯による事が大きく、胸椎の後弯が過剰になる事でも起こる。

よって様々な胸郭の可動性低下因子を踏まえつつ、肺活量や最大換気量への影響を考察する必要がありそうです。

息を吐く力

肺活量は思いっきり息を吸って、思いっきり吐く時の空気の量のことです。

肺活量の低下は肺胞の異常や肺組織の障害、胸膜の疾患をみつけます。

問題があるほどの肺活量低下は「呼吸が浅い」レベルではありません。

呼吸の浅さを測るには呼吸筋力を指標とするのが妥当ではないでしょうか?

呼吸筋力として基準となっているのは最大呼気口腔内圧や胸腔内圧で臨床上にも意味を持つようです。

また、呼吸筋力は年齢、性別、体格、姿勢なども影響因子になります。

呼吸筋力低下は呼吸筋弱化と呼吸筋疲労に分けられます。

呼吸筋弱化は神経筋疾患によるものです。神経筋疾患患者は四肢の筋力よりも先に呼吸筋弱化が起こるとも言われています。

呼吸筋疲労は健常人であっても負荷をかければPImaxとPEmaxは低下します。

呼吸筋について

呼吸筋は

①横隔膜

②肋間筋および胸壁の筋

③腹筋

④斜角筋

⑤呼吸補助筋

⑥上気道の筋

この5つからなります。

①横隔膜は最も重要で、安静吸気の70%を占めています。

主な運動はピストン運動で、筋紡錘をほとんど持たないため、張力や振動などの刺激では促通しない。

②肋間筋および胸壁の筋

外肋間筋および内肋間筋の前部線維は吸気、内肋間筋の横、後部線維は呼気にはたらく筋とされているが、実際の影響はまだ不明なことも多いようです。

外肋間筋は外腹斜筋と走行を共にして、深呼吸、二酸化炭素負荷、麻酔時に働き、上部肋間部に吸気時に作用します。

内肋間筋は内腹斜筋と走行を同じにして、体幹の回旋、側屈にも作用します。

傍胸骨筋は胸壁の筋で、斜角筋との協調筋であり、横隔膜による内方変位を防ぐ役割を持ちます。

上胸部を拡張し、吸気の主導筋です。

③腹筋群

腹筋群は腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋です。安静呼気時には使われません。(安静呼気は吸気筋の弛緩)

臥位での安静呼吸時には腹筋群は働かず、立位で外内腹斜筋が緊張性に働きます。

努力呼吸時に腹筋群は活性化するため、機能的残気量以下への呼気は腹筋によります。その後、弛緩することで自動的呼吸を可能とします。

④斜角筋

第1、第2肋骨を引き上げ、胸郭を上方に拡張します。傍胸骨筋と協調して安静吸気時に作用します。そのため、斜角筋は呼吸補助筋ではなく、呼吸の主導筋です。

⑤呼吸補助筋

胸鎖乳突筋、僧帽筋、腰方形筋は代表的な呼吸補助筋です。

胸鎖乳突筋は胸骨を引き上げ前後径を増やします。安静呼吸時には活動せず、負荷がかかり呼吸が困難になると活動します。

努力呼吸に必要な筋です。

僧帽筋は胸鎖乳突筋と共に副神経支配の筋です。系統発生的には同じで、胎生7週~8週で分化します。呼吸においては下部線維が肩甲骨を引き下げた位置で呼吸を安定させ、上部線維は鎖骨を引き上げ上部胸郭の吸気を助けます。

呼吸困難時には腹式呼吸よりも僧帽筋マッサージの方が呼吸を助ける効果があるという研究もあるが、筋硬度と機能的残気量は相関がないため、筋が弛緩したことではなく神経的な変化の方が解釈として優位だとされています。

腰方形筋は横隔膜と共にはたらき、第12肋骨の挙上を防いで吸気を助けます。

⑥上気道の筋

上気道の筋は上気道を収縮させることで呼吸を助けます。上気道が狭くなると睡眠時無呼吸症候群やいびきが酷くなります。

呼吸に関わる筋について記述しましたが、セラピストやインストラクターの言う「呼吸が浅い」の定義はここでもみつかりませんでした。

多くの一般生活者の方は安静時呼吸が主体であることと、肩で息をするほどの呼吸状態になることがほとんどありません。

また、僧帽筋などが肩こりによって緊張することで、呼吸補助筋が働きにくくなり、息苦しさを感じる場合もあるのではないでしょうか?

術者側が主観的な判断で呼吸に対して見解を述べるのではなく、患者の主観を基に呼吸に不快感を訴えているかどうかを聞き取ることの方が重要です。

また、努力呼吸は腹筋の賦活し、立位時の姿勢を高めます。

このように呼吸の浅さよりも呼吸を深くする活動を日常で多く取り入れることの方がずっと必要なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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