腰痛を発症する時間帯は?
目次
腰痛の時間帯別による発症リスク
腰痛は何かをしていて起こる人は意外に少ない症状です。
朝、目が覚めた時におや?と感じたり
椅子から立ち上がっただけなのに急に痛みを感じたり
普段であれば何でもないような動作や仕草で痛みが起こったと言っている患者さんの方が、何かをしたから腰痛が生じたといった患者さんよりも圧倒的に多いのです。
その背景には
・睡眠不足
・長期に及ぶ倦怠感、疲労
・劣悪な環境での長期間の作業
・腰痛既往歴
・不安、うつ傾向
・運動不足または過度な運動
このような生活に潜んだ因子が絡み合っています。
腰痛は単に構造的な問題や異常だけでは起こりにくく、このような心理社会的な因子も含めて起こります。
しかし、患者さん自身はこのような状況になっていても
まさか自分に何もないところから腰痛が起こるなどと分かっている人はほとんどいません。
このようなことから腰痛リスクがある方は、対策が必要になってきます。
今回は時間帯のリスクについて考えてみたいと思います。
腰痛が多発する時間帯
腰痛は一日の中でどの時間に多いのでしょうか?
・腰痛の発生率を曜日別で調査すると、月曜日が20.9%と休み明けの週の始めに多発する傾向がある。
・腰痛発生の時間帯はAM8:01~AM11:00の間に40.5%を占める。
・AM9:01~AM10:00までがそのうちの15%でピーク。
厚生労働省の調査によるとこのような結果になっています。
朝または午前中が危険な時間帯のようです。
死体の脊柱の屈曲可動域は椎間板と靭帯でクリープ負荷をかけ続けると早い時間の方が椎間板が300%、靭帯が80%の高い屈曲抵抗になるそうです。
このため、朝の屈曲時に受傷することが多いと考えられています。
生体の椎間板では朝の方が10%の椎間板に高さがあるが、夕方の方が脊柱の柔軟性と椎間関節力は高まるようで、筋の脊柱支持力が影響するとも言えます。
これらのことを踏まえて考えると
朝の時間帯では夕方よりも前屈運動に負荷が大きくなり、荷重と運動によって椎間板や靭帯、または脊柱の伸筋群に柔軟性が増加するため夕方は動きやすくなっていると考えられます。
朝の時間帯に腰痛発生リスクが高まるのは、生物学的にもこのような影響があるからのようです。
早朝の屈曲リスク
起床時に腰痛を訴える患者さんも数います。
睡眠前/睡眠後の腰椎の可動域の変化では、睡眠後の方で屈伸、側屈が有意に可動域の減少が認められています。
軸回旋運動は変化がなかったそうです。
可動性の制限による腰痛の危険因子は側屈制限とハムストリングスによる屈曲制限で顕著であるとされているため、起床時にこのような状態が腰痛患者および腰痛予備群には考えられます。
早朝の屈曲活動を制限することにより、23%の慢性非特異性腰痛の痛みの日数を減少させたようです。
3年間、早朝の屈曲活動を制限した腰痛患者の半数以上がひと月に1回程度の痛みを経験するに留まったそうです。
早朝、起床時などの時間帯の腰痛発生を減らすことができる可能性があります。
慢性的な腰痛を抱えた人には、起床時および早朝にはコルセットなどの着用は有効的だと言えます。
腰痛の危険な時間帯は朝
このように朝は腰痛を最も起こしやすく、腰痛患者にとっても再発、悪化の恐れがある時間帯です。
にもかかわらず、起床時の腰痛の影響は多くのセラピストにとって
長時間の睡眠姿勢や運動不足などが筋をこわばらせるためだと考えられています。
椎間板は負荷によって可動性を高めるし、筋肉の柔軟性も朝と日中では変化します。
朝の痛みは疲労が取れていないからでも、腰痛の人の椎間板が脆弱だからでもありません。
全人類に起こりやすい要素が朝の時間帯にはあるということなのです。