腰痛患者の臀部の筋
目次
腰痛によって起こる筋の変化
腰痛などの筋骨格痛の場合、痛みによって動きが制限されたり、組織変性が進むことで慢性化したりすることで、筋断面の減少や筋力の低下などが起こる事があります。
特に慢性化した非特異的腰痛は活動を減少させたり、運動を制限してしまうことにも繋がるため筋が小さくなってしまうことがあります。
不動や神経的な異常ではなく、活動の減少によって筋が萎んでしまうような状態です。
このことが腰痛の対策にも重要な意味となり、運動処方の選択にもつながると思います。
運動は腰痛に対して最も有効な手段ですが、何をすればいいかは吟味しておきたいものです。
今回は腰痛の患者に対してよく問題視されるのは股関節や殿筋です。
腰痛患者の殿筋または股関節筋の状態について調べてみようと思います。
慢性腰痛患者の殿筋
36人の慢性腰痛患者と32人の健常者を対象に、仮説としては腰痛の患者の方が殿筋が大きいのではないか?という研究をしました。
しかしこの結果は仮説に反して、腰痛患者の方が筋断面が小さかったそうです。
痛みによる筋の剛性増加ではなく、活動低下や長時間の座位などによって臀部の活動性が低下したものだと考えられました。
中殿筋では慢性腰痛患者の場合、筋力は弱いが健常者に比べて活性化していたそうです。
これは慢性腰痛患者の姿勢維持に中殿筋が用いられているにもかかわらず、筋力は低下しているという矛盾した結論が不思議です。
また、病歴のない被験者に2時間拘束された立位を強制した場合、65%が腰痛を感じ、参加者の76%が中殿筋が活性化したとのことです。
腰痛の発症と殿筋の活動は興味深い関係があると言えます。
殿筋活性化エクササイズ
サイドプランク下肢挙上 最大随意筋収縮(MVIC)103%
サイドプランク上肢支持下肢挙上 MVIC89%
片脚スクワット MVIC82%
クラムシェル MVIC77%
これらは大殿筋のMVIC70%を超えました。
股関節伸展フロントプランク MVIC106%
臀部プレッシング MVIC81%
サイドプランク MVIC71%
片脚スクワット MVIC71%
これらは大殿筋、中殿筋の両方で70%を超えました。
クラムシェル・エクササイズ
クラムシェルの動画を紹介します。
臀部のトレーニングで当院でも多く患者さんに指導している運動療法です。
参考にしてみてください。