腰痛が歩行に与える影響
目次
腰の痛みが歩行を変える
腰痛の患者さんによく
「歩き方が悪いのでしょうか?」
という質問を頂きます。
歩き方が悪くて痛みが生じるという事もなくはないと思いますが、そうなると
・足などにケガなどを負っている
・重量物など通常の歩行が困難なほどの負荷がかかっている
・神経的な障害があり歩行にも異常がみられる
このような条件が必要になります。
通常の歩行に良い悪いはなく、歩けるという事自体ポジティブに評価できます。
しかし、痛みまたは違和感、または「痛みそう」という不安がある場合、歩行の相が痛みと関連付けされることがあるかもしれません。
この場合、痛みなどが先か、歩行の異常が先かというところがポイントになります。
人間の場合、痛みの有無で姿勢や動作は変化しますので、痛みがある場合は多かれ少なかれ歩行の相に変化は出ます。
このことをもう少し掘り下げてみたいと思います。
腰痛による体幹の変化
歩行速度が全体的な体幹協調と脊柱起立筋の活動に及ぼす影響、およびそれらの変動性を詳細に調べて、歩行に対する非特異的LBPの影響についてさらに洞察を得る研究があります。
腰痛患者が歩行速度が低下することはよく知られています。この実験でも腰痛患者にとって快適な歩行速度は有意に低かったようです。
歩くという動作は腰痛患者にとって、少しの努力がいるようでこれも活動低下の要因になりそうです。
◆横断面
LBP参加者では、骨盤と胸部の協調の通常の速度による変化がより同相からより逆相に減少しましたが、腰椎と骨盤の回転は対照群と比較してより同相でした。
◆前額面
セグメント間のタイミングは、胸部の追加の不規則な動きを伴って、対照参加者よりもLBPでより変動しました。
◆回転振幅
LBPとコントロールの参加者の間で有意差はありませんでした。LBP参加者では、脊柱起立筋活動のパターンは増加した、タイミングの不足、振幅の変更、および周波数の変化の点で影響を受けました。
LBP参加者の歩行は、横断面でのより堅固で変動の少ない運動学的協調、および前頭面でのより緊密で変動の少ない協調と、腰部脊柱起立筋の不十分な協調活動を伴うことを特徴としました。
かみ砕いて説明すると
腰痛の患者は体幹の協調性という点では、セグメント間で胸部と骨盤部ではやや逆相を示し、腰部と骨盤部では同一方向の動きになりやすいようです。これらは脊柱起立筋の活動量の増加によって、協調性が不十分になり得るということだと考えられます。
健常者と比較して体幹の動きが少なくなることで、協調的な運動の妨げとなるのではないでしょうか?
骨盤と体幹の協調性エクササイズ
腰痛患者にとって歩行時の骨盤と体幹の協調性低下は脊柱起立筋の反応速度の低下によるようです。
脊柱起立筋が急な速度変化や姿勢のブレに対し、適時に対応した収縮を行うことで骨盤ー体幹の協調性が保てます。
クロスエクステンションは脊柱起立筋の姿勢維持機能を高め、上肢下肢と体幹の協調性を高めるエクササイズになります。
腰痛の方の歩行時の体幹不均衡に対するトレーニングとしては有効なエクササイズとして活用できます。
歩行時の協調性エクササイズとしてクロスエクステンションの動画を参考にしてみてください。