スポーツによる膝の変形リスクを考える
目次
スポーツによる膝の変形リスク
レクリエーションスポーツは生涯を豊かにし、健康に寄与すると考えられています。
しかし、膝や股関節といった荷重のかかる関節は過度の運動によって変形のリスクを抱えているという仮説を唱える人もいます。
果たして膝関節の変形はスポーツによって助長されるのでしょうか?
定期的なスポーツに参加する人とそうでない人では、定期的なスポーツをする人に骨棘の発生が多く見受けられ、膝の狭小化はあまりなかったようです。
ただし、これはチームスポーツまたはパワースポーツの参加者であり、持久運動やランニングの参加者ではなかったようです。
運動による膝の変形リスクは存在しますが、競技によっても違うようです。
結論から言えば、毎日の適度なレクリエーションスポーツは臨床上膝や股関節のケガのリスクにはなり得ないという結果が報告されています。
大腿四頭筋とハムストリングス
膝の障害を抱えた方は、健常者と比較すると大腿四頭筋とハムストリングスの筋力に脆弱性があると言われています。
スポーツをする上でも、膝関節の保護のためにこれらの筋力は欠かせないものとなっています。
また、ハムストリングスのタイトネスは膝の屈曲を助長し、内外方への動揺の原因にもなります。
大腿四頭筋は中年期の低活動群においては、長時間の歩行で疲労が顕著であり、中年期の高活動群は少なかったとのこと。
これにより中年期以降の身体活動の維持は膝伸筋の強度を維持することにも繋がり、膝関節の負荷を長期的に低減する可能性があります。
膝の内側コンパートメントに対する負荷を軽減させるために、股関節外転筋のエクササイズを大腿四頭筋、ハムストリングスと共に実施したところ内側コンパートメントへのストレスが運動直後に9%減少し、WOMAC膝痛スコアが78%減少しました。
膝のリスクを減らすためには大腿四頭筋、ハムストリングスの筋力維持に加え、股関節外転筋の強化も有効です。
よって歩行や大腿部を使う運動は膝の強化につながりますが、長距離走などを行う場合はこれらの筋力と筋持久力に見合う距離や速度を考える必要があります。
膝のOAと股関節の角度
膝の内側OAでは健常者と比較して股関節外転7°増加し、膝の外側OAでは股関節内転2°増加を示しました。
また、外側OAでは外旋7°多かったが、内側OAでは変化なかったようです。
股関節の角度は膝OAにおいて変化があり、歩行の相にも影響があります。
また、外脛骨の外側回転は内側OAで9°多く、外側OAで6°少なかった。
股関節の外転と外脛骨の外旋=内側OAで見られ
股関節の内転、股関節外旋=外側OAで見られる
膝の障害には股関節の角度の影響もあるようです。
膝の保護のために
適度なレクリエーションスポーツは膝の保護に役立ちそうです。
しかし、筋力と筋持久力、膝OAの進度を考慮して競技と負荷を選択する事がポイントになりそうです。
また、膝の強度を高める上で大腿四頭筋とハムストリングスの強化は必須になります。
大腿四頭筋の伸張性とハムストリングスとの協調性を高めるエクササイズとしてニーエクステンションを紹介します。