股関節の安定性能を高める
目次
股関節の可動性
股関節は球状の関節であるため、複雑な動きが可能な関節です。
股関節の安定化機構は
静的安定化機構
関節窩の深さ(臼蓋形成不全)、関節唇(前上方を損傷しやすい)、腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯の3つの靭帯が関節包として安定に寄与する。
動的安定機構
深層外旋六筋(大腿方形筋、梨状筋、内・外閉鎖筋・上・下双子筋)、小殿筋、腸腰筋が股関節の安定に寄与します。
股関節の運動は股関節単体の動きと骨盤との複合した動きも股関節運動には必要です。
これを骨盤-大腿骨リズムといいます。
大腿骨が骨盤に対し、屈曲すると骨盤は後傾します。
大腿骨は頚部に前捻角と頚体角が存在するため、股関節屈曲運動では大腿骨頭の内旋が、伸展運動では大腿骨頭の外旋が生じます。
股関節を安定的に動かすには、大腿骨-骨盤というスムーズな力の伝え方を学習することがポイントになります。
長時間座位がもたらす股関節の問題
長時間の座位は股関節にとって常に屈曲位を続けることになります。
椅子の暮らしによってしゃがむー立つという動作をしなくなるとどのような問題が起こり得るでしょうか?
長時間の座位は立位、前傾姿勢に比べても腹斜筋と腹横筋の疲労度を高め、骨盤の安定を損ねます。
スランプ姿勢はこの疲労と関係しているようで、腹部筋群の倦怠感によって起こる姿勢と考えられています。
座位姿勢において、ハムストリングスの柔軟性に優れた人は腰椎ではなく骨盤の移動によって姿勢をコントロールします。
これらによって座位姿勢は腹斜筋、腹横筋の疲労度とハムストリングスの柔軟性が大腿骨-骨盤リズムを低下させ、股関節運動を妨げる可能性があります。
8時間以上座位が続く人の多くに腸腰筋に圧痛点があり、週3回以上のランニングまたはサイクリングをするものにも腸腰筋の圧痛は見られました。
腸腰筋の圧痛は腰痛のない人にも見受けられました。
また、トーマステストによる腸腰筋の短縮が見受けられた人もこの中に多かったことから長時間の座位は腸腰筋短縮にも影響を与える可能性が高いようです。
長時間の座位姿勢は
・ハムストリングスの短縮による骨盤運動の低下
・腹斜筋、腹横筋の倦怠感の増加によるスランプ姿勢の顕在化
・腸腰筋の短縮による圧痛とトーマステスト陽性
などが見受けられるようです。
座位による腰痛リスクは信用性が低いため、このことが腰痛を引き起こすかどうかは置いておきます。
しかし、これらのことは腰椎の過剰な屈曲を促し、腰椎の伸張性を欠くことや股関節の伸展運動を低下させます。
歩行時の股関節
歩行時の股関節は接地による足関節と膝の動きによって相の変化があります。
足関節の背屈制限がある場合は股関節は屈曲し、伸筋の働きが抑制されます。
また、膝OAなどによる膝伸展制限も股関節は屈曲します。
歩行中の股関節の屈曲は歩行速度を減速させますが、安定性を高めることができます。
よって、骨盤を前傾した歩行では安定性を強化するため高齢者などでバランス感覚の低下や下腿三頭筋の伸張性低下、膝OAなどによる下肢の異常や障害に対応するための肢位であることが理解できます。
歩行による股関節の接触負荷量は股関節内転時でピークになり、二番目が伸展-外旋時だったそうです。
内転筋やハムストリングスの過活動は股関節に負荷をかけますが、股関節屈曲時の安定性が問われます。
股関節屈曲のエクササイズ
股関節の安定性能を向上するためには、屈曲動作をトレーニングする必要があります。
座位においても歩行においても共通するのは屈曲による安定性と腹部筋群による骨盤支持、ハムストリングスの伸張性による骨盤コントロール操作です。
これらを網羅したエクササイズを紹介します。
ヒップヒンジです。
参考にしてみてください。