慢性腰痛に胸椎の運動は重要です
目次
動きが硬くなりやすい胸椎
姿勢の問題でよく指摘されるのは胸椎の後弯です。
円背とも呼ばれる胸椎の後弯角の増大は頸部や腰部のモビリティが高まり、本来重要なスタビリティが低下し、頸部痛や腰痛を招くという説もあります。
結論から話せば、胸椎の伸筋力を高めることが課題にあるということです。
私たち人類の日常生活の暮らしの多くは、背中を丸め、頭を前に突き出した前頭姿勢です。
画面を見る作業は特に頭部を前にしやすくなります。
頭部が前下方に位置すると座位では胸椎の後弯、骨盤のスランプ姿勢が起こりやすくなります。
この姿勢自体が腰痛や背部痛の原因になるということではありませんが、胸椎傍部の筋は伸張されます。
胸椎の可動性が低下すると
・胸椎後弯
・肩甲骨上方回旋
・僧帽筋上部>僧帽筋下部
・腹筋群伸張性低下
・横隔膜収縮性低下
このような構造的な相を呈することで、肉体的にも精神的にも影響があります。
慢性腰痛患者の胸椎の可動性と安定化
慢性腰痛患者に胸椎の安定化運動を行ったそうです。20人の被験者を2つのグループに分け、片方は安定化運動のみ、もう片方は胸椎のモビリゼーションを加えて安定化運動を行った。
安定化運動のみの群では体幹屈曲筋力が16.0±7.4 Nm
胸椎モビリゼーションを加えた群では34.2±7.6 Nm
という結果となり胸椎モビリゼーション群が有意に筋力が向上しました。
伸筋では
安定化運動群では148.9±31.8Nm
胸椎モビリゼーション群で182.9±37.2Nm
となり胸椎の伸展筋力も胸椎モビリゼーション群で有意でありました。
屈曲可動域は
安定化運動群で 29.8±9 度
胸椎モビリゼーション群は38.7±6.9 度
とこれも胸椎モビリゼーション群に有意差がありました。
このことから慢性腰痛患者には胸椎安定化運動、体幹運動に加え、胸椎のモビリゼーションを行うことで筋力も可動性も向上することが分かります。
胸椎のモビリティを高める重要性
胸椎安定エクササイズを行った慢性腰痛患者に干渉波による電気治療と胸椎モビリゼーションを分けて行ったところ、胸椎モビリゼーション群の方が疼痛レベルが下がったようです。
慢性腰痛において胸部は動的である必要があり、また動的であるからこそ安定筋力も維持しやすいということになります。
筋肉をほぐしたり、血流を促進することよりも胸椎への徒手アプローチと運動を併用することで胸椎のモビリティを向上させ、腰部や体幹のスタビリティ向上につながるようです。
胸椎のモビリティを高めながら肩甲骨のスタビリティを向上させるエクササイズを参考にしてみてください。