サルコペニア予防のために必要なこと
目次
高齢者のサルコペニア対策
サルコペニアとは加齢による筋肉量の減少および筋肉量の低下を指します。
65歳以上の約15%がサルコペニアに該当し、女性よりも男性に多いようです。
2028年には高齢者がピークになると言われ、サルコペニア対策は行政も含めて大きな関心になっています。
対策するとなると今の40~50代くらいが高齢者になる前にサルコペニアに対する知識を持ち、取り組む必要があります。
なぜならば、筋肉量の減少は40代くらいから始まるとされているからです。
もちろん、40代で筋力の衰えを自覚する人はほぼいませんが、70代になると自覚する人が増加します。
当院ではInBodyによる体組成測定を毎月行っており、患者さんの筋肉量、体脂肪量を管理しています。
必要なのは運動と栄養
サルコペニアを予防する上で重要なのは運動と栄養です。
運動は速筋の方が減少しやすいため、できれば高負荷、高重量、瞬発的な運動が理想です。
栄養は高たんぱく、低脂質、高カロリーを年を重ねるほど意識することが求められます。
残念ながら低負荷でのんびり動いたり、食べられるものを食べればいいというのでは予防になりにくいのが実情です。
このように書くとかなりシビアな健康管理が必要なように感じるかもしれません。
40代くらいの生活は運動しない人は極端にしない、する人はジムやジョギングをしているイメージがあります。
当院にお越しの40代もそんな感じです。
高負荷と言いますと、息が乱れるくらいの運動にはなるため、体を動かしたり、散歩程度では物足りません。
高齢者の筋肉量および筋肉の形態に影響を及ぼすことができる運動量は
"トレーニング期間は 50 ~ 53 週間、トレーニング頻度は週 3 セッション、トレーニング量は 1 エクササイズあたり 2 ~ 3 セット、1 セットあたり 7 ~ 9 回の繰り返し、トレーニング強度は 1RM の 51 ~ 69%、合計6.0 秒の緊張時間、セット間の休憩 120 秒、繰り返し間の休憩 2.5 秒が最も効果的であることが判明しました。"
これが目安となりそうです。
要約すると約1年くらいかけて、週3回10回未満の運動を2~3セット。半分くらいの力でできる加減のものを一回6秒くらいかけて間2.5秒以内に行い、120秒の休憩を設ける。
この方が分かりやすいですね。
思ったより難しくない気がします。
回数や時間というよりは少しきついと感じるくらいを目安に行うことがポイントです。
次に栄養面ですが、サルコペニアになる人はそうでない人に比べるとタンパク質とカロリー量が顕著に少ないようです。
当院に来られる患者さんもですが、やはり筋肉量が少ない人は食べる量が少ない。
もしくは脂肪量が少なく、除脂肪量も少ない場合も多い。
2型糖尿病のサルコペニア率は中程度と言われ、糖尿病患者のサルコペニアの場合、糖代謝と栄養状態の悪化が見受けられます。
このように何が不足しているからというよりも、サルコペニア患者の栄養状態は基本的に常習的な低栄養であり、三大栄養素が健康的な高齢者に比べて大きく欠如しています。
若年期からの食生活がそもそも少ない、虚弱ややせ型であるという人は注意が必要かもしれません。
細く長い期間をかけた日々の積み重ねが、数十年後の筋肉量に大きな影響を及ぼすことになるようです。
自分の脚で一生歩くには?
若年期からの生活が老後の筋力に影響するということが分かったと思います。
よって40代くらいから、自分の老後を意識して活動する必要があります。
年を取ってから考えるというのは手遅れではありませんが、兆候はすでに若い時の習慣に見受けられます。
特に歩かなくなる、負荷の高い運動がきついと感じるようになるなどがひとつの目安になります。
また、食生活も知らず知らずに低栄養状態になっていることがあります。
食べていると言っても、基礎代謝量以下の食事では健全な栄養状態とは言えません。
満腹感よりも多くの栄養を摂取できるように心がけてみませんか?
自分の脚で一生歩くというのは、思っているよりも維持することが大変です。
だからこそ、毎日、毎週、数分でも筋肉に負荷をかけ、栄養を意識した食生活の習慣を身につけて欲しいと思います。