我慢と緊張がもたらす不調~首から左の腕にかけての痛み
目次
患者
40代 女性 パソコン教室講師
頚部~肩甲間部に強い痛み 一か月前~
頚部伸展で左肘まで痺れが出現
一か月前より首から背中に強い痛みが現れ、日に日に辛くなってきたため紹介により来院されました。
◆選択した通院プラン
月額通い放題 8回通院後 メンテナンスとして継続通院
検査
スパーリングテスト陽性
C6領域に疼痛
痛みの背景
長期間、仕事で人間関係のストレスが強く、胃腸障害をきたしたようです。
食事もあまり喉を通らず、体力も低下。
我慢強い性格のため、自分で解決しないと気が済まなかったとのこと。
改善策と治療戦略
頚部の神経根障害または、C6領域の神経障害(筋皮神経)などが考えられます。
神経の絞扼箇所の特定を目指すとともに、運動療法なども加えて改善を目指します。
当面は
・胸椎、肩甲帯部の運動性向上
・精神的ストレスの軽減
・食事の改善
このあたりに狙いを定めて介入していきます。
通院記録
1回目
施術後一日は痛みも少なく過ごせたが、2日後には首の左側~左肩に強い痛みが再度出現。
3回目
この施術以降、疼痛の持続性が減少。強さは変化なし。
胃腸の消化不良、食欲低下、体力が持続しない。
この頃から胸椎ローテーションエクササイズを処方し、自宅でやってもらう。
4回目
IMMUNITY(アミノ酸)で腸内環境を整える
一週間後疼痛の減少 スパーリングテスト陰性で神経根障害の可能性は減少
5回目
尿・便の量が増えてきた。食事量を少しずつ増やすこと。
自律神経系を改善するために深呼吸と咀嚼を指導。
7回目
ストレスや緊張で僧帽筋上部に張りや痛みが増強すると理解。
肩甲下筋のエクササイズで肩甲骨と上肢の運動性を高める。
通い放題が8回目で終了
翌月からは疼痛がかなり減少。
デスクワーク時に肘が開く姿勢でいると肩の痛みが増すことを認識。
9~10回目
デスクの高さや肩甲骨周囲のエクササイズを指導。
ほぼ痛みはなくなりましたが、ケアのため通院中。
インボディ測定をしながら食事管理も指導していく。
施術後記
人間関係のストレスは心理的不安感を募らせ、痛みの感受性を高めます。
これによって睡眠不足や栄養不足に陥れば、体力的な負担だけでなく、脳は休息できずに交感神経が亢進することが考えられます。
常に戦闘モードでいることで、休息が十分でなくなれば体の回復は遅れることでしょう。
このように痛みというのは何か障害があったり、損傷していなくても精神的なストレスや生活習慣の乱れが筋の緊張を高め、神経の絞扼を起こすことがあります。
特に頚部は緊張や疲労時に筋のスパズムが起こりやす場所でもあるため、痛みが一度おこると持続的に強い痛みが生じることはよくあることです。
この方の場合は、趣味の水泳が出来るくらいまで回復したあたりから、急速に痛みが軽減しました。同居しているパートナーと一緒に行っているのもいい効果をもたらしていると思います。
信頼できる人、身をゆだねることができる環境、やり抜きたい!という気持ちや責任感よりも「すべき」「しなくては」という思考になっているときは痛みの増強サインです。自分の正直な気持ちを見失わないようにしたいものです。
そして、こういうときこそ体を動かすことが回復への手立てになります。水泳で肩を大きく回すことがいい治療になったと思います。