姿勢の悪さ=腰痛ではない!?
目次
姿勢が悪さと腰痛の相関性は?
腰痛の原因は何だと思いますか?
そう患者さんに尋ねると、多くの方が
「姿勢が悪いから?」
と答えます。
様々なメディアでもよく姿勢の悪さが取り沙汰されていますので、姿勢が悪いと腰痛になる。
そう信じるのは当然です。
姿勢は適応する
ただ、姿勢というのはその場、シチュエーションなどによって変わりますよね?
椅子に座る姿勢と立つ姿勢は同じではありません。
猫背や反り腰と術者が見立てたとしてもそれは主観的な評価でしかありません。
姿勢というのは適応するものなので、それ自体を腰の痛みと結び付けることは無理があるのです。
では、どうして姿勢が悪いと腰が痛くなる。
そういう話が出てきたのでしょうか?
座っていると痛む腰
腰痛の人が座っていると腰が痛みやすい。
この経験は間違いないと思います。
そこで姿勢をまめに正していると腰痛が薄れる。
そういう経験もあるのではないでしょうか?
そこで、いいと思われる姿勢をした時に痛みが和らいだとします。
この場合、姿勢を正したから良くなったんだ!
そう思うと思いませんか?
人間の痛みというのは損傷がなくても、その人の経験によって学習すると言われています。
だとすると、腰痛の人が座っていると痛いという経験を繰り返す。
これが学習になって、座るときの姿勢=腰痛というタグ付けがされます。
そこで、座るという姿勢よりも長時間の同じ姿勢は腰痛に悪影響を与えるという研究結果があります。
もしかすると座った姿勢ではなく、座っている時間の長さが腰痛を助長している可能性もあります。
ということは、ここで誤認が生じています。
おまけに、姿勢を正したことでラクに感じた。痛みが和らいだ。
そういう経験をしたら、これは姿勢を正せばいいんだ!という発想になるかもしれませんね。
しかし、事実は長時間の座りっぱなしが一時的に姿勢変換することで和らいでいるのかもしれないのです。
当院では姿勢を指摘しません!
姿勢が原因という考えには小さな害があります。
それは慢性化しやすい思考になるからです。
姿勢が悪いと考える人は、姿勢を正す動作をよく取ります。
しかしこの動作、意外と腰や背中に緊張感をつくります。
この緊張感は交感神経を刺激し、筋肉に過剰な神経伝達を促し、血行不良を起こします。
その繰り返しが痛みを再確認することになるために、痛みの感受性が高くなり、
腰痛が慢性化しやすくなるのです。
よって、当院では姿勢の悪さを指摘することはしません。
しかし
・長時間の同姿勢
・痛む姿勢の反復
これらについては指導していきます。
良い姿勢という基準もありません。
自分が楽な姿勢でいられ、活動しやすいこと。
それで充分なのです。