腰を曲げると痛む腰痛に対する適切なアプローチとは?
目次
腰を曲げるのが怖い、痛い
腰痛治療でキーポイントになるのは
腰を前に屈む姿勢(体幹の屈曲動作)に対する、動作の指導です。
腰痛患者の多くは前屈みによる痛みが生活の中で障害になることがあります。
腰痛は後ろに反る時の痛みと、前屈みの時の痛みに力学的な違いがあるかもしれません。
多くの腰痛治療家は、この原因を腰椎に問題がある、または腰椎椎間板にかかる負荷の問題であるといった見解をしめします。
そして、腰椎を支持する筋の弱さや、骨盤に問題があると指摘することもあります。
腰の屈曲動作の腰椎への影響
腰部の屈曲で腰痛の患者と健常者を比較する場合、前かがみで持ち上げる動作に腰痛患者の方が6°少なかったという報告がありますが、ほとんどの研究では有意差がなかったようです。
腰を曲げる角度が大きいと腰にかかる負担が大きいという予測は、腰痛の発症、持続、危険因子とは相関性がないようです。
また、腰痛患者の屈曲の脊柱活動が腰痛の評価に妥当性があるか?という研究では、屈曲の脊柱活動と腰痛の程度には有意差はなかったことから、腰痛患者に屈曲の脊柱評価は妥当性がないという結果になったそうです。
これらのことから腰痛患者が腰を曲げる動作をするのは、構造的に危険だとは言えないのと同時に、腰痛患者または腰痛既往者に屈曲動作による可動域の大小を指摘することは腰痛改善とはあまり関係のないことだと言えます。
しかし、腰痛患者は健常者と比較すると移動時間の0%~50%で脊柱の動きに制限が働くことが分かっています。
また、屈曲の予備動作に腰背部の筋の収縮が見られることが多く確認されていて、屈むという動作よりも屈むという行為に腰痛患者は反応していることが分かっています。
前に曲げる訓練
腰痛の方に両足立ちで前に屈んでもらうと痛みが誘発されたり、恐怖心が芽生えるのに、片脚立ちで屈む場合は曲げられることがあります。
また、膝を曲げたり、足底の重心の位置を変化させると曲がりやすくなる場合もあります。
壁伝いに屈曲するように動くと曲がるようになっていくことから、
・体の硬さではない
・腰椎や腰の筋肉に異常があるわけではない
・腹筋など体幹の筋力とは関係ない
というように腰痛の神話のように語られていることが、実は影響していないことがわかります。
当院での腰痛患者さんへの指導は
片脚立ちでボールを拾ったり、バランスボールを用いて、骨盤や股関節の動きと身体を曲げるという動作をつなげていくように訓練します。
このように腰痛にまつわる信じられていることが、腰痛の改善の妨げになっていることがあります。