五十肩の治療、何を選択しますか?
目次
五十肩は簡単な症状ではありません
まず、言っておきたいのはたかが五十肩と思う方は多いかもしれませんが、実は簡単な症状ではありません。
自発痛といって、何もしなくてもズキズキするような痛みがある場合は炎症期であるため動かすこともできません。
患者さんにとってはこの時期に痛みを無くして欲しいと思うかもしれませんが、物理的な方法で痛みを緩和させることはできない時期です。
寝ていても痛むため、睡眠不足にもなりますし、痛みで気分も最悪です。
炎症が落ち着くまでは介入しようがないのが炎症期です。
このあと、拘縮期が来ます。
ここから少しずつ治療ができるようになります。
推奨されるのは、愛護的な徒手療法や出来る範囲の運動療法、または物療です。
石灰沈着性の周囲炎や腱板断裂なども可能性としてはありますので、3ヶ月以上痛みが治まらないようであれば整形外科の受診も視野にいれましょう。
カイロプラクティックや整体はどうですか?
カイロプラクティックや整体という選択肢は極めて危険です。
最近は無資格者の整体も増えていますが、彼らは肩関節周囲炎の病態をあまり理解していません。
癒着をはがす、無理にでも動かす
このような行為をすると炎症が再燃します。
徒手療法自体は否定されるものではありませんが、昨今の事情では選択肢にはいれにくい治療法です。
しかし、五十肩は脊柱の可動性にも影響するのはたしかです。
肩甲骨の可動性の減少は胸椎や頚椎の運動性を欠くことにもなります。
徒手療法は運動療法の併用が必須になるでしょう。
電気治療の効果
ある論文には超音波や高周波が長期的な痛みの軽減に効果があったということは書かれています。
エビデンスのレベルは低いですが、これらの物療は有害事象も少ないため、選択肢には入ります。
当院でも、高周波治療器を使って肩の治療に活用しています。
運動療法との併用もできます。
自己効力感を高めよう
五十肩治療でも必要なのは自己効力感です。
運動療法で体のコントロールに自信をつけ、回復への希望と理解を深めることは治癒能力を高めます。
痛みは気分を落とし、やる気を削ぎます。
この症状はこれほどまでに痛みレベルが高いため、情動的な影響も大きいです。
しかし、レジリエンスを高め、モチベーションを維持していくことはとても重要です。
たかが五十肩
そう思うかもしれませんが、重篤化すると痛みは改善すれど可動域はままならない状態になることもあります。
放っておかずに、専門家のアドバイスを聞きながら治療を進めてください。