ぎっくり腰に対する理解と治療
目次
腰痛の複雑さ
少し寒くなってきたからでしょうか?
腰を痛くした患者さんが増えてきたように思えます。
腰痛と一言で言っても細かく分類すれば、腰痛はたくさん種類があります。
構造的な問題を抱えたものもあれば、原因が明確にならないものまで。
腰痛の85%は原因が分からないという報告もあれば、腰痛の75%は原因が特定できるという報告もあります。
原因が特定できるとした報告で一番多いとされているのが椎間関節障害です。
腰椎の後方にある椎間関節に起こる炎症や物理的な負荷によって痛みを感じます。
このように腰痛は複雑であり、接骨院でその鑑別をするのには限界があります。
特にギックリ腰のような急性期では、炎症もあり痛みも強く、動作にも制限があるためにハッキリさせることができないのが本当の所です。
ですのでまずはギックリ腰(急性腰痛)がどのようなものなのか?について理解したいと思います。
急性腰痛
急な腰の痛みに見舞われて悶絶する人が、整体などで「痛みを取ってほしい」と来院することがあります。
急性腰痛は重いものを持ったり、姿勢を変えたりした時に起こる事が多いので、動作や姿勢が原因のように思う方が多いようですが、誘因となるものは過去の腰痛歴、加齢、肥満、喫煙、うつ状態、認知機能障害、170cm以上の女性、低い教育レベルが報告されています。
これらを見ると構造的な問題が急性腰痛を引き起こしているのではないことが伺えます。
急性腰痛は約6週間で多くは自然緩解します。
しかし、この間に運動恐怖や思考の破局化、職場の復帰ができない、不動などで症状が長引くと慢性化しやすくなり、急性腰痛の60%以上は再発するとも言われています。
短期的な視野と長期的な視野
多くの人は痛みをなんとかすることを希望します。
そのくらい強い痛みですので、気持ちはわかりますがその考えは大きなリスクを伴います。
腰痛の代替療法は急性期、亜急性期、慢性期でマッサージや鍼治療、脊椎マニュピレーションは短期的な痛みの改善に効果はあるようですが、持続性、長期的な改善には不向きです。
有害事象に関しても、短期的な痛みの増悪はあっても継続的な増悪などはあまり報告されていません。
これらの理由でマッサージや整体を選択する人がいるんだと思います。
当院でも一時的な疼痛の管理のために、徒手療法のアプローチを取り入れているのはこの理由からです。
長期的な改善を視野に入れるとすると、運動療法と認知行動療法が必要になります。
当院では短期的な痛みの管理をしながら、運動療法を処方します。
自分で出来ることが増え、自己効力感を高めていくことで急性的な痛みが慢性化することを予防していきます。