手技がもたらす人生の豊かさ
目次
手技のうまい先生
技術っていうのは鍛錬だけではなく独創性のある発想や心のコントロールなども含めて「技術」だと思っています。
人の身体を治したり、整えたりする技術は世の中にたくさんありますが、どんな技術も
・人の身体に触れる技術
・違う視点を見せられる技術
このふたつの技術で成り立っているように思えます。
人は触れるという感覚を入力して、緊張したり弛緩したりします。
これは神経系のはたらきです。
皮膚からの入力を加減したり、調節したりして上手にコミュニケーションできると「痛み」や「疲労感」といった感覚が変化します。
次に患者さんの視点をうまく変える技術です。
患者さんは自分の調子に対して主観的な信念を持っています。その主観的な信念はほとんど根拠のないものです。そしてそれが「痛み」や「不調」の強さに影響を与えています。
この強い信念を体験を通じて、別の視点を与えることで感じ方が変化します。
手技がうまい先生というのは実はこういうことができる先生じゃないかと思います。
通ったら良くなったというカラクリ
クチコミを眺めていると、技術の高さを称賛する投稿がほとんどです。
治してもらった!
ゴッドハンドだった!
何回で完治した!
当院のクチコミもありがたいことに技術を称賛する投稿をたくさんいただいております。
ということもあり
先日、私のところに来ている患者さんに「通ったら良くなりますか?」と質問されました。
なので私は「〇〇さんは何のために通いますか?」と質問で返しました。
当然、痛みが良くなるためと答えると思います。
私はこういう時にこそ、痛みの話をするチャンスだなぁと思うのです。
痛みが改善するのは
・時間が経てば良くなるもの
・適切な介入があれば良くなるもの
・なんで良くなったかわからないけど良くなったもの
・習慣的なケアが必要なもの
とあります。
大抵の痛みは時間が経てば良くなります。
だからまあまあ治りそうなタイミングと来院のタイミングが合えば
一発で治った!とか、数回で良くなった!となります。
次に適切な介入が必要なものというものがあります。
慢性化した痛みは時間が経過しても痛みが改善されませんし、繰り返し痛むことがあります。
このようなお悩みに対しては時間がかかりますし、回数も必要になります。
また、患者さん自身の努力や協力も必要です。
この層は一番「技術」が左右すると思います。
何で良くなったかわからないけど良くなったケースは正直言って技術ではなく、奇跡でもなく、かと言って介入が必要なかったわけでもないでしょう。
これこそ、相性や信頼、患者さん自身の生きる力のようなものが働いた結果ではないでしょうか?
そして、治る治らないとかではなく、習慣化したケアが必要なものもあります。
継続的に運動したり、セルフケアしたり、栄養や睡眠などを指導、管理する必要がある人です。
疾患や障害は徒手で治しようがない問題です。
また、肩こりや慢性腰痛なども指導や管理が必要ですが、この手の症状の人は指導や管理を嫌う人もいますね。
なのでこの層の患者さんにこそ「技術」と「知識」が絶対的に生きてきます。
患者さんに疾患や障害がないか、介入が必要なのか、どのくらいの期間があれば改善できるか
そこを精査して、患者さんにどのような関りができるか?
患者さんがどこまで理解を示し、協力してくださるかで「通えば良くなるか」も変わってきます。
ここが徒手療法のカラクリですね。
すぐに出る効果よりも継続的にケアする
即効性のある施術は実は短期的な効果でしかありません。
その場のスッキリ感は一時的ですし、強い刺激による痛みの軽減は脳の痛みの抑制メカニズムで痛みで痛みを消す方法です。
手技は気持ちがいいので手技を求めたくなる気持ちはわかります。
でも、痛みや症状を改善するのであれば運動指導、生活習慣の指導は必須です。
治療の効果、痛みを消すことを求めてしまうというのは割と無駄な施術の受け方になります。
リラクゼーションは心身を鎮め、自律神経を整えるのには適しています。
アロマテラピーや音叉療法などは嗅覚や聴覚を使って直接脳をリラックスさせる効果があります。
温浴治療は血流を増進し、神経伝達を改善します。
このように世の中に溢れるセラピーにはどれも健康を安らかにする効果があります。
手技療法を活用した暮らしは豊かです。
そこで意識してほしいのは「痛みの改善」だけで受けないこと。
自分の暮らしを豊かにするために、人の手の温もりや技術に触れる時間を味わってみてはいかがでしょうか?