労働者の姿勢と生活習慣による腰痛発生リスク
目次
肉体労働と腰痛
肉体的な負荷の高い労働は腰痛の原因とされがちです。
屈曲姿勢、重量物のリフトがその主な理由とされますが、長時間の同姿勢を伴う作業よりも動き回る作業の方が腰痛発生リスクが低いという報告もあります。
腰痛の多い肉体的負荷の高い職業は、運送業、介護福祉士、保育士などが挙げられます。
これらの職業の共通点は
・重量物(人)のリフト
・屈曲を伴う作業
・ぎこちない姿勢の作業
このような姿勢や動作
・命やケガのリスク
・タスクの多さ
・長時間労働
などの精神的な負荷も挙げられます。
ここに賃金に対する不満や上司のサポート不足などの社会的要因が加わることで腰痛発生リスクはさらに高まります。
労働による腰痛リスクを高める姿勢要因
①立位姿勢は歩行に比べて腰痛発生リスクを高めます。
②立位姿勢と持ち上げ動作に腰痛発生リスクの有意差はない。
③屈曲した脊椎姿勢、背筋の持久力低下、座っている時間の長さは互いに腰痛発生リスクに関係がある。
④片手で重量物を持つ、重量物を押す、重量物を引く動作に腰痛発生リスクの有意差はなかった。
いくつかの文献にある報告から抜粋すると、このような内容が見つかりました。
ここから推察されることは
・重いものを持ち上げるから腰痛になるわけではない
・持続した受動的な姿勢や拘束される時間などが関連する可能性がある。
・背筋の筋力低下(疲労の蓄積、不良姿勢など)と姿勢維持の関連性は疑いがある
ということです。
労働者の生活習慣指導
労働者の腰痛は就業年数、喫煙、肥満(腹部)、国籍、運動不足が腰痛の発症に関連があるとされています。
体調管理は腰痛患者にとって有効であるか?という疑問に対しては、急性腰痛患者にはあまり影響はないが、亜急性期、慢性腰痛患者には有効であると報告されています。
軽い継続できる運動、禁煙、体重管理はこれらの症状から職場復帰を早めます。
ただし、管理指導は継続率が低いことが課題でもあります。
自発的な生活習慣の見直しができるプログラム、指導法でないと腰痛は仕事に支障をきたす症状ではありますが、命の危険があるものではないため積極的な改善に取り組みにくいのが現実的です。
よって当院では、
・強制しない
・できることへのコミット
・できなくても責めない
・やったことを評価
といった加点評価を行います。まずはやる気になることや承認欲求を満たす心理的サポートが基盤になるように関ります。