胸郭出口症候群
目次
胸郭出口症候群とは
胸郭出口症候群は腕神経叢および鎖骨下血管の胸郭出口圧迫によって引き起こされる症状です。
上肢の痛み、しびれ、うずき、脱力感、血管運動の変化を示します。
神経原性の胸郭出口症候群がほとんどで、血管合併症は稀です。
神経原性82% 静脈圧迫性16% 動脈圧迫性10%というデータがあります。
臨床的には多様であり、鑑別を明確にする方法は確立されていません。
圧迫部位は頚部から腋窩および近位腕部、斜角筋間三角、鎖骨下三角または鎖骨下腔のいずれかで圧迫されます。
男女差は女性で多く、20~50歳が好発年齢です。
胸郭出口の異常
頸肋、斜角筋の走行異常・緊張、小胸筋の走行異常・緊張などは胸郭出口症候群の原因になります。
最も一般的な神経根の圧迫はC5,C6の脊髄神経前枝が前斜角筋の浸透で、C5,C6の前斜角筋の貫通なども胸郭出口での障害になります。
鎖骨下筋の過度な緊張は上腕神経叢と鎖骨下動脈の圧迫を起こしうる箇所であるという報告があります。鎖骨下筋は稀にですが、異常な筋の存在があり、この形態異常が腕神経叢の圧迫につながる場合もあるようです。
胸郭出口症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群の3つのタイプに分けて考えることができます。
これらを鑑別することは臨床的には困難です。また、鑑別の基準すらも定まっていません。
胸郭出口症候群は基本的にC5,C6領域を疑い、絞扼箇所が3タイプあることを視野にいれます。
また、変異による神経の筋への挿入なども稀ですが考えとしては頭の片隅に入れておきたいものです。
胸郭出口症候群の保存的治療
原因の特定が難しいこれらの症状に対しては、運動療法、認知行動療法による介入と痛みの科学に順じた管理が必要になります。
生活の質の低下、動きの不自由、肩こりなどの一時的なケアを含めた生活の指導をしながら、保存的に管理します。
運動療法での改善については28%で著しい改善、32%は部分的な改善、6%は持続的には重度な症状を持続したという報告がありました。
マッサージは改善の助けになったという報告が多数存在しますが、マッサージの効果は研究が必要なようです。
マッサージは8週間にわたり5回の介入で症状の改善が見られたという報告があり、これはVASスコアの改善が大きいことから効果があるのではないかという見解に至ったということでした。
カイロプラクティックにおいては上部頚椎の操作での改善報告がありますが、否定的な見解も多く存在します。