体のゆがみによって痛みは起こるのでしょうか?
目次
腰痛・肩こりは体がゆがむせい?
患者さんになぜ痛くなったのか?と聞くと
姿勢が悪いから
と答える人はかなりいます。
その中の何人かは「体がゆがんでいる」
と言います。
そのことについて患者さんの話に耳を傾けると
左右の違いを「ゆがみ」と言っていることがあったり
整体やストレッチなどで「ゆがんでいる」と言われたり
そういう客観的指標から「ゆがみ」を感じる人と
動きにくさや背筋が伸ばしにくいなど
能動的な体の不自由感から「ゆがんでいるせい」だと主観的に認識している人がいます。
左右差は問題になるか?
体は非対称なものだから、左右が一緒にはずはありません。
そういう先生もいます。
そのことは承知しながらも、患者さんは左右の差を違和感として感じます。
左右差は痛みの原因になり得るか?という実験としては
腰椎の左右回旋の差と腰痛の関係を実験した研究報告がありました。
rそれによると
腰痛の人は痛みと同側に腰椎の回旋柔軟度が高く、股関節の回旋が低いという報告があり、股関節の代償動作が腰椎の柔軟度を高めることでそのメカニカルストレスは腰痛を引き起こす刺激となり得るという結論でした。
腰椎の回旋可動域は他の椎骨に比べ小さく、股関節や胸椎によって保たれています。
しかし、これらに関節の可動制限が生じると腰椎は繰り返し力学的な刺激をうけることになり、多裂筋や腹斜筋の疲労、血行不良、神経伝達の低下がおこり腰痛の発生原因になる可能性はあります。
椎骨間のズレは起こるか?
カイロプラクティックによると椎骨間の亜脱臼は関節の遊びを減少させ、神経根圧迫を引き起こし神経症状を引き起こすといった表現がよくされています。
アメリカで行われるカイロプラクティックはこの椎骨亜脱臼(サブラクセーション)によって様々な症状や疾患の治療を行いますが、その効果は証明されておらず、腰痛に関しては脊椎マニピュレーションの効果が認められておりこのような限定的な使用が望ましいと医学的には言われています。
椎骨のズレがあるかないか?椎骨のズレが症状に関係するか?しないか?という議論よりもカイロプラクティックまたは脊椎マニピュレーションをどのような症状に適応させ、どんな場面で使用するか?といった議論をした方が建設的です。
一般的な保存療法よりも脊椎マニピュレーションを施した方が機能状態が倍以上に改善されたという報告もあります。
カイロプラクターは説明モデルを変える方がいいのではないかと考えます。
椎骨のズレを改善するといった考え方よりも椎骨の動きや椎骨周辺の神経系に働きかけるテクニックと考えた方が良さそうです。
姿勢の変化
姿勢は常に一定ではなく、動きながら制御されています。
重心の変化や座る場所、痛みの有無、画面との距離、病気や損傷、感情や環境によっても姿勢は変化します。
体の歪みを姿勢を基準に考えることは無理のある論理になります。
姿勢評価は歪みの度合いを測る評価ではありません。
位置情報や左右の非対称を評価するよりも、歩行やバランスなどの機能性評価を大切にします。
体が歪むことは痛みに繋がることもありますし、痛みによって歪むこともあります。
歪み自体を問題視せずに、機能的な評価をしつつ、姿勢改善、姿勢指導を心がけていきたいところです。