頸部痛の方への枕指導
目次
慢性的な頸部痛はしつこい?
まずはじめに頸部痛(首の痛み)という症状は腰痛と同じく頻発する症状です。
年間の罹患率は15%を越え、生涯における頸部痛経験者は50%に上ります。
症状の50~80%は原因組織を明確にすることができないというのも慢性腰痛に近いと思います。
イエローフラッグとして心理社会的要因も重なることでBPSmodelが適応される症状でもあります。
よって頸部痛は再発リスクも高く、睡眠不足や運動不足といった生活習慣は痛みの管理に必要です。
頻繁に首の痛みを訴える場合、
・疼痛管理
・脊柱および神経根症状(Red flags)
・エクササイズ&コンディショニング
・モビリティ
・頭痛治療
といったどのカテゴリーに入るかを検討する必要があります。
疼痛評価7以下
肘より遠位症状なし
頭痛なし
症状の持続が30日以下
60歳以下
このような場合、エクササイズ&コンディショニングが重要になるため睡眠環境なども含めた指導が中心になります。
枕指導が必要な理由
枕を最後に買い替えたのはいつでしょうか?
この質問をすると多くの患者さんが5年以上同じ枕を使用していることが分かりました。
では枕の耐久年数はと言いますとどんな枕でも3年くらいを目安に交換することを推奨していました。
靴下や下着のように毎日使用するものでも数日周期のサイクルで使用するのに、枕は毎日5~6kgの頭を乗せ、汗を吸い、6~8時間ほぼ同じ場所に圧をかけています。
当然、劣化すると思いませんか?
その枕ですが、頸部痛にどんな影響を与えるかというものとしては、どちらかというと適切な枕選びをした方が睡眠の満足度が増加し、頸部痛が軽減したり、可動域が回復したと報告が多くあります。
枕が悪影響を及ぼすというよりも、枕によって改善されたというわけです。
頸部痛を頻発する患者に枕指導を行う理由はここにあります。
枕の高さと頸椎
枕の高さは頸部にどんな影響をもたらすのでしょうか?
0cm、10cm、20cmの高さの枕を用意し、C2-C7cobb角、T1勾配、胸郭入口角、首の傾きを計測しました。
枕が高くなるにつれてT1勾配、C2-C7cobb角は増大し、首の傾きは減少します。
正常な頸椎前弯を考慮するとこの実験で最も理想的だったのは10mの高さの枕だったそうです。
また、枕の高さを11cmから徐々に上げていくと、高くなるほど頭蓋圧や頸部圧は上昇します。
このように枕は10cm位を理想とし、その人の頸椎の前弯やT1勾配によって調整することを必要とします。
当院での枕指導
当院では睡眠指導の一環として枕指導も行っております。
特に頸部痛を慢性的に発症する患者さんや、寝違えなどを頻発する患者さんには頚胸部のエクササイズと共に枕選びをします。
当院ではTENTIAL社製のBAKUNE MAKURAを推奨しています。
高さと硬さをカスタマイズできるので、患者さんの頸部に負担をかけにくいフォームを選びます。
ぜひ、ご相談ください。
BAKUNE MAKURAは当院の通販サイトからも購入できます。