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2022.10.05

膝OAと高齢者の筋委縮の関係

変形性膝関節症と筋力トレーニング

膝の内側の痛みは関節裂隙付近では変形性膝関節や内側半月板障害、脛骨粗面では鵞足炎を疑います。

これらは股関節の内旋、脛骨の外傾斜、外旋によって膝関節内側の角度がつくため、負荷がかかることで疼痛を誘発しやすくなります。

このような場合、大腿四頭筋、ハムストリングスの強化を主に指導します。

しかし、盲目的に行われるこれらのトレーニングは本当に有効であるのでしょうか?

臨床的にはあまり効果が出ない事例もあります。(悪化はしないが良くもならない)

今回は内側膝(Knee-in)による痛みの改善に必要なトレーニングを検証したいと思います。

膝OA患者の大腿部の筋委縮は加齢なのか?

変形性膝関節(膝OA)の患者さんに予測されることは大腿部の筋力低下です。

高齢者であれば加齢による筋委縮もあるため、その影響が膝の負担になっていると考えるからです。

実は高齢者の筋委縮は速筋線維で顕著であり、遅筋線維はさほど影響を受けていないようです。

高齢者の大腿四頭筋は膝関節のROMと関連付けられており、ROMが悪いグループの大腿四頭筋は速筋線維であるtypeII線維が減少しています。

膝の痛みを抱えた患者さんは、痛みがあるためにROMや活動量が低下せざるを得ず、それにより筋委縮が加速することが考えられます。

typeI(遅筋線維)の減少は少ないため、筋断面積自体はさほど小さくならないということも理解しておく必要があります。

この考えから、膝OA患者の場合は加齢だけが筋委縮の原因ではなく痛みとROM減少が加わることで、健常な高齢者に比べて筋委縮は進みやすいと想像できます。

痛みの減少と可動域の拡大を狙う

しかし、膝OA患者の疼痛レベルを減少させるために、大腿四頭筋の強化は必須だと信じられています。

膝蓋骨を安定させ、伸展の主導筋である大腿四頭筋は膝の不安定感の改善には不可欠だと考えるからです。

しかし、この筋の強化とアライメントの変化は相関がないようです。

膝のOAによる不正アライメントがある患者に大腿四頭筋トレーニングをしてもアライメントの変化はなく、正常に近いアライメントの人の場合は大腿四頭筋トレーニングによってアライメントが整ったようです。

変形などによる不正アライメントは大腿四頭筋トレーニングでは改善しないようです。

よって、大腿四頭筋トレーニングをアライメント改善または、膝の不安定感の改善を目的に取り組むのは関節構造が正常な人であれば有効だと考えられますが、膝OAの場合はそれだけでは足りないようです。

そこで、股関節外転トレーニングを加えると膝の内側位は角度が正常に近くなり7割近い疼痛が緩解したそうです。

膝OA患者には大腿部だけのトレーニングだけでなく、股関節外転筋のトレーニングを加えることが効果的です。

痛みの改善と可動域の拡大をすることで、筋委縮を予防することができるわけですから、早期からこの2点に対する取り組みを意識的に行う必要があります。

また、速筋線維に対するアプローチは高齢者では難しい場合もありますが、痛みのない範囲での高負荷や瞬発的なトレーニングも行うことが必要だということが分かりました。

 

 

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