夏場の腰痛対策~筋の痙攣への予防
目次
ギックリ腰が増えています
毎日暑い日が続いています。
腰痛というと寒い時に起こすイメージがありますが、実は夏場のギックリ腰って意外と多いんです。
ギックリ腰は筋の痙攣が影響しますが、なぜ急に痙攣なんか起こすのでしょうか?
暑い季節なのでよく脱水や電解質不足などを指摘する声もあります。
スポーツ選手の多くは水分補給をしているようで、実は十分な量を補えていない。
といった報告もあります。
一般生活者が水分不足になるのは自ずと起こりやすいことです。
しかし、背部の急な筋の痙攣がこのような水分不足だけで起こるのでしょうか?
筋の痙攣を予防する
筋の痙攣は筋疲労、水分不足、電解質不足、神経ー筋反射などが原因に挙げられています。
筋の痙攣が神経ー筋反射による仮説は水分不足説を上回るものです。
筋紡錘からの興奮性ドライブの上昇とゴルジ腱からの抑制性ドライブの減少の間で不均衡を起こすことが影響しているようです。
これは末梢神経の興奮ではなく、脊髄反射が関与しているようです。
腸腰筋の機能的障害は構造的な異常がないが、短縮、痙攣、衰弱の原因となり腹痛、骨盤帯痛、腰仙部の痛みとなって出現します。
長時間の座位などによって、腸腰筋の持続的短縮、脊柱傍部の緊張した筋の伸張ストレスはこれらの神経ー筋反射メカニズムを介して、動き始めや姿勢転換時に急激な痙攣を引き起こします。
能動的な水分補給を①塩分入りの飲み物②ただの水をそれぞれ自由に飲める状態にしたところ、①の塩分入りの飲み物を飲む群の方が多く摂取でき、慢性的な体の痛みや痙攣が減少したという結果があります。
水分や電解質が筋の痙攣を軽減する例でもあるが、水分や電解質の"摂取"と"損失"がイコールであるとは限らない。
夏場の筋の痙攣を防ぐには
・同じ姿勢を続けない
・水分と塩分をこまめに補給する
このことは有効だと思います。
関節可動性向上と痙攣の軽減介入の比較
坐骨神経痛患者の理学療法で関節可動性の向上を目的とした介入と、筋の痙攣を軽減させるための介入を比較した。
結果としては関節可動域の向上を目的とした介入は26%の患者は回復し、筋の痙攣の軽減を目的とした介入の効果は改善する可能性が低かったそうです。
慢性的な腰痛と筋の痙攣は古くから関係があるとされてきましたが、2022の研究で慢性筋痙攣の根底には虚血性モデルが有力であるという発表がされました。
運動介入が必要であることもこのような循環器的な影響があれば尚更です。
関節可動域を理学療法で向上させつつ、循環機能を高めて血流の促進を向上させる治療、マッサージやストレッチ、物理治療が有効的であるのも頷けます。
筋の痙攣は未然に防げないのか?
現代医学で筋の痙攣を未然に防ぐ方法は確立されていません。
夏場はより多めに水分、塩分の摂取に気をつけ、運動による循環機能の促進と関節可動域の向上に努めます。
筋の痙攣が起きた場合はパッシブストレッチ、TENSなどによる物理療法、マッサージは効果が認められています。
腰痛は寒さで増悪する傾向にあるため、冷房や扇風機の風が直接当たらないような工夫も必要です。